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猫目のおかげページ39

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　次に目が覚めたのは昼過ぎだった。熱を測っても朝とあまり変わっていなかった。何も食べてないし薬も飲んでないからそれもそうか。

ゲーム買って１日やる予定だった有給、使い道は変わってしまったけど取っててよかった。でもこういうとき一人暮らしって辛い。
今頃ミンソクさんどうなったか知らないけどどーせ奥さんに看病してもらってんだろ？羨ましすぎ。

冷蔵庫を開けても何もない。カップラーメンを食べる気にもならないしどこかに買いにいく元気もない。
…誰か召喚しよ。ギョンスとかいねーかなーって、普通に仕事だよなー。

　
スマホのロックを解除するとラインが来ていた。
Aちゃんからだった。

『買えたー？』

あ、そうだゲーム今日買ってやるって言ってたんだった。ソファーに座って返事を打つ。

『まさかの風邪で買えてなーい最悪』
『また風邪？大丈夫？』
『大丈夫じゃないけっこーツラい』
『何か買っていこうか？』

…Aちゃんならそう言ってくれると思ってた。でも、さすがにそこまでしてもらうのは申し訳ない。風邪移っちゃうとやだし。返事を躊躇っていたら着信画面に切り替わった。

『もしもし？大丈夫？』

心配してくれるAちゃんの声が無性に俺の寂しさを擽ってくる。

「………Aちゃ…っっくしょん！…あー」

勢いついたくしゃみが出た。

『あっはは、大丈夫？』
「ん……」
『ちゃんと薬飲んだ？食べてる？』
「飲んでない食べてない腹減ったダルい」
『んー…、今１人？』
「うん………きて」
『…え？』
「………うそだよ」
『…行くよ。薬と食べ物買ってきてあげる』

うそだって言ったのに、どこまでも優しくて俺のこと勘違いさせる天才。

『風邪のとき１人って不便だし寂しいもんね』

ふふって、笑う声も一緒に聞こえた。
なんで分かるのかな。あ、この前風邪ひいたって言ってたし実感しただけか。

「……マジで言ってる？」
『うん』
「俺んち知ってたっけ？」
『あ、知らない。住所教えてくれる？』
「…………ホントに来る？」
『うん、死なれたら困るから』
「こんくらいで死なんわ」
『……ベッキョンが心配なんだよ』
「……あんがと。最寄りは…」

風邪引いたときってどうしてこうも寂しくなるんだろ。
そして甘えたくなる。電話を切って布団頭まで被った。
ドクドク脈打つ心臓は、風邪のせいか。