OVERWRITE (ページ35)

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牽制ページ35

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　仕事と家を往復する毎日。これが基本。社内に広がったあの噂もいつの間にか消え、あの焼き肉の日からAちゃんとも連絡すら取っていない。

週末の予定も入れてないし、今の俺はすっからかんだ。誰かを想って切なくなったり嬉しくなったりするのも、ある意味忙しかったから急に暇だ。

…落ち着いたと言えばいいかな。

そんな俺の唯一の楽しみといえば、来週発売する好きなゲームの新シリーズを発売日に取りに行って週末までにクリアするっていうこと。寂しいことにそれだけだ。

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「それじゃ、よろしくお願いします！」

　取引先に頭を下げて、歩き出す。さっきまでの笑顔は振り返ったら無に変わる。これぞ営業スマイルってやつ。

時計を確認すると昼は余裕で過ぎていて腹が減ったことに気づいた。パーキングに停めている車に荷物を積み込んだとき、携帯の着信音が鳴る。

相手はセフンだった。

『おう、どした？』
『後ろ見てください』
『え？』

言われた通り後ろを見ると同じパーキングに車を停めていたセフンがいた。

「おーおーなんだよセフン丸！偶然にもほどがあるな」
「何その呼び方。今から出ようと思ったらヒョンが来たから」
「なに？営業？」
「打ち合わせがあって」
「飯食った？」
「まだ」
「一緒いく？」
「あー、じゃあ」

すぐ近くの定食屋に入った。大盛のどんぶりを頼む俺と違って普通盛りの定食を静かに食べるセフン。もっと食え。

「そういえば、あれ嘘でしょ？」
「え？なにが？」
「前にドライブ行こうって言ってた日、体調崩したの」

え…何で嘘ってばれてるんだ？
どっかから漏れてる？
あの子の知り合いだったとか？まさかそんな…。

動揺してあーとかうーとか俺を１度横目に見て、すぐに戻した。

「気、遣った？」

あ、思ってたのと違う。
勘違いしてくれてる。助かった。