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行儀が悪いページ30

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「なんかこう、出されたおかず全部手をつけといて食べ終わらずごちそうさまって言ってる感じ」
「……は？どういうこと？」
「つまり行儀が悪い、今のお前は」

予定を一時的な気の迷いでキャンセルしたせいで暇になってしまい、どうせ家で映画でも見てるだけだろうと誘ったら、どこかで買ってきてくれたジャージャー麺を食べながら箸で俺をビシッと差したのは近所に住む幼馴染のギョンス。

「気持ちわる」
「…あんだと？」
「気持ちわるい、お前」
「なんだよおかしなこと言うな」
「おかしなこと言ってんのはベクだ」
「…はい？」

　ブシュっとコーラの缶を開けて、きっつい炭酸にも屈することなく平気な顔してゴクゴク飲んでいる。その強靭なお前の喉の方が気持ち悪いと俺は思うね！

「感傷に浸りすぎて気持ち悪い。純粋な子を傷つけた俺の罪は重い？ハッ」
「おいギョンスお前」
「好きだった先輩に未練タラタラな上に似てる子が気になる？アーッハハ腹痛い」
「全然笑ってねーし」
「ベッキョンらしくない」
「…どこが」
「一夜限りも、未練タラタラも、ウジウジも」
「全部かよ」
「そう」

最後の一口を食べ終えて、ごみ袋にすぐに皿を捨てた。口の周りのソースをティッシュで綺麗に拭く。

「そういうの上手く対処できるのがビョンベッキョンじゃないの」
「…ん？褒めてなくない？」
「今何がしたいの？彼女がほしいの？それなら経理の子でいいじゃん。でも違うんだろ？」
「……」
「先輩と不倫でもする？それか似てるからってAちゃんととりあえず付き合う？」

早口で捲し立てるその口から目が離せない。
よく動く。

俺は今何に悩んでるんだ。何がしたいんだ。
彼女がほしいわけでも不倫したいわけでも似てるから付き合いたいわけでもない。
昨日のことはできればなかったことにしたい。
引き摺ってる荷物は早く下ろしたい。

「なーんだろな。好きな人に好かれたい…かな」
「あのね…それが一番難しいんだよ」
「んなこた知っとるわ」
「互いの気持ちが通じ合うのは、普通じゃないから。奇跡みたいなもんだから諦めろ」

ギョロっと目だけでこちらを見る。

「そして、逃げるな」

ゲームでも、敵を倒さないと前に進まないだろ。思い切りぶつかったり、進路を変えるなり色々方法はあるんだから。

逃げたって解決しないよ。

当たり前のことを堂々と言うギョンスに、すっかり響いてしまったなんて悔しくてソースのついたティッシュを顔目掛けてぶん投げた。