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　そんな俺の思いとは反対に、一瞬躊躇ったけどすぐに外してくれた。メイクも薄いし地味な子という印象があったけど度数が強いメガネなのか、外すと少し目が大きく見えた。

「ん？こっちのほうがかわいい」

　するとすぐにメガネを掛ける。やっぱり目が小さくなった。

「眼鏡も似合うけど、掛けてない方が俺は好きですね」

チーンと軽い音が鳴って１階についた。開くボタンをずっと押して彼女が出るのを待っていたけれどなかなか降りない。どうぞって手で促すとやっと動いた。

「それじゃ気をつけて帰ってください」

　ペコリと頭を下げて反対方向に帰っていく姿を見送る。あーこのまま家に帰るのが少し嫌になってきた。どっか屋台でラーメンでも食って帰るかな。そんなとき電話がなる。二軒目の誘いかなーなんて軽い気持ちで画面を見ると、待ち望んでいた人からの電話だった。躊躇わずにすぐに通話ボタンを押す。

「はいはーいビョンベッキョンだよ」
「はいはーいAだよー」
「知ってるよーどした？てか何で最近返事してくんないの？ベッキョン寂しいよ、なんで？ねぇなんでなんで？」
「ちょっとなにいきなり～でもごめんね、就活とか風邪とかでちょっと放置してた」

なーんだ。変な心配はいらなかったか。
就活してたことは知らないし風邪引いてたなんてもっと知らないけど。

こんなタイミングよく連絡が来るとか、昨日の俺の独り言が届いたのかな？

「でね、今からセフン君と飲むんだけど来ないー？」

歩いていた足を思わず止めた。セフンと飲む？

なんで？なんでってのもおかしいかもしんないけど…やっぱりなんで？久しぶりに連絡来たと思ったらセフン付き？ていうかセフンとは飲みに行く約束とかしてたの？俺とは連絡とってなかったのに？てかセフンのことフったんじゃないん？きみたちどういう関係？

「…行かない」

出すつもりなんてなかったけど勝手に不機嫌な声が出る。でもAちゃんは多分気づいてない。

「あー、そっか。残念。急だったもんね」
「てかさ…Aちゃんってセフンとどういう関係？」
「…え？同じ会社の」
「わー、わかった。ごめん。また誘って」

　一方的に電話を切って、すぐに後悔する。
　セフンがいたって行けばよかった。
　だって友達じゃん。どっちも。
　何にも気にすることないのに。
　なのに、なんで一瞬でイラついたんだ俺。

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