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　窓の外からAちゃんに視線を移すとしっかり目があった。

「…アクションとか、シューティングとか色々…バンバンするやつ」
「え！そんなのすんの？」
「結構好きなんだよね…」
「俺もよくする！もしかしてあれやってる？」

　自分が一番得意でハマっているゲームの名前をだすと、そう！と指をさされた。あれ結構バイオレンスだから女の子でやってるなんて珍しい。

「マジか！俺これ極めてる」
「ほんと？私いま詰んでてさぁ…」
「どこで？」
「廃墟のとこ…」
「あー、はいはいあそこね！あれ二階の奥の部屋にアイテムあるけどとった？」
「なにそれ知らない！」
「あれ取んないとムズいよ」
「えー！」

　タクシーの中で小さく地団駄踏むAちゃん。女の子とこのゲームの話できるのすんげー貴重。

でもタクシーはスイスイ進むから、あっという間にAちゃんちの前についた。降り口側に座ってる俺が先に降りて、あとからAちゃんが出てくる。

「え、もっかい、どこっていった？」
「二階の奥の部屋に棚みたいなやつがあって、そのー…あれ、何番目だっけ、ってか違うかも」
「しっかり思い出して！早く！」

ゲームの話は尽きない。

二人とも降りてずっとはなしてると運転手が乗らないんですかー？と声をかけてきた。やばい、急がなきゃ。

「あー…、今から行っていい？そこクリアして帰る」
「え、え、あ、待って、時間大丈夫？」
「うん大丈夫。…二人とも降ります！」

　運良くここまでのタクシー代ピッタリ持ってたから、雑に払ってタクシーを見送った。勢いとはいえ、こんな時間に女の子の家にお邪魔するとか新手の送り狼じゃねぇかよ。

玄関の鍵を開けているAちゃんの後ろで、ゲーム以外はなにもしない、なにもすりつもりない、なにもしちゃダメだ、と自分に釘を刺しまくった。

　女の子の部屋にしてはとてもシンプル。だけど部屋いっぱいに女の子の匂いがする。

すでに定位置であろう座布団の上に座っているAちゃんは、自分のすぐ隣にもう一枚座布団を用意してバフバフ叩いた。

そこに座れってことね。
全く警戒されてなくて嬉しいやら悲しいやら。

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