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最終話
後ろ手でドアノブを捻ってすごい早さでドアを開けて外に出る。いつもみたいについてこられても困るから、外から押さえて開けられないようにした。でも出てくる感じがない。だからこっそり歩いて、部屋から離れたところで走って階段を降りた。
「い、い、い、意味わからない、意味わからないわたしがおかしい?なんで?え?」
ぶつぶつ言いながらリビングを歩き回る私を不思議そうに見る使用人たち。でもそんなの気にならないくらい混乱してる。途中でソファーに足の小指をぶつけたことも気にならないくらいくらい混乱してる。
「Aどうしたの?」
外から帰って来た兄が、コートを脱いで使用人に渡してソファーに座った。その横に勢いよく座ると兄が揺れた。
「壊れるよ」
「セ、セフンがっ、セフンが」
「セフンが?」
「けっ………」
「………け?」
「……」
「何?」
口ごもる私を下から覗き込んでくる。でも、言えない。全部言ったら本当に、セフンは解雇されそうだし。やっぱり何もないって首を横に振ると、あっそって興味無さそうに部屋に帰っていった。
…何で言えないんだろ。あんなことしたり言ったりしてるんだから、私の側にいるための決まりを破ってるんだから、執事としてこれ以上の昇進はないのに。解雇してって自分から望んでるのに。私だって、もっと全体的にしっかりした人に側にいてもらいたい。何もできない私を馬鹿にしたりしない人にいてもらいたい。
だったらやっぱり解雇した方がいいよね。
一歩一歩踏みしめて自分の部屋に戻ると、ドアのすぐ近くにピンと背筋を伸ばして待機しているセフンがいた。私を見てお辞儀をする。
「化粧を落としてくるんじゃなかったんですか」
「…………忘れてた」
そうだった。一応そう言って部屋から出ようとしてたんだった。でももういい、どうせセフンしか見ないしもともとそんなに化粧していないし。
「……それで」
「………なに?」
「俺の処分は決まりましたか」
セフンは、何だか期待している顔をしてる。部屋に入ったとき、何もなかったかのような顔をしてたからやっぱり間違いだったか、もうすでに忘れてくれてるのかと思ったけど違った。
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こむ(プロフ) - ひなさん» 遅くなってスミマセン!コメントありがとうございますー!わーん( ;∀;)嬉しさ爆発です!!続編できるの、時間がかかるかもしれないですが…(*´ω`*)やる気出ました!ありがとうございます! (2018年1月21日 14時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 執事セフンたまんないです!きゅんきゅんがとまりません( ;__;)また続編よみたいです、、! (2018年1月14日 2時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ジュンミさん» はじめまして!めっちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そんな風に思っていただけるなんて感無量です!いつかお答えできるように進展させようと思います、脳内で! (2017年12月17日 23時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュンミ(プロフ) - はじめまして!すごく好きなお話です!!セフン との話長編で読みたいです!!!!! (2017年12月11日 0時) (レス) id: 02379d08bf (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!そのお言葉をいただけることがもうスーパー嬉しいです!! (2017年12月10日 1時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむ | 作成日時:2017年11月21日 0時