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近くなった先生の首に腕を回すと、突き放したりもせずに容易く抱き着かせてくれて、何なら先生が私の腰を強く抱く。先生も低くなってるのに私の踵も持ち上がった。
こんなに優しくて甘やかしてくれるの初めてだ。ムカつく！って思ってたのに、すぐに大好きって気持ちに入れ替わる。
「これは写真撮れなかった代わりな」
先生は私を操るのが本当にうまいと思う。そして私はやっぱり単純。
もし写真を撮っていたらこんな展開は来なかったんだって思ったら得した気分だもん。
「チャニョル先生」
「んー？」
「大好き」
大きな耳に唇が触れる距離で囁きかけたら、先生はふふって笑った。
「さっきまで怒ってたじゃん」
「うん。でももう好きでいっぱい」
「……簡単だな」
「だってこんなことしてくれたの初めてだし……」
「お前が写真撮りたかったって泣くから」
「じゃあさ、もっと強く抱き締めてほしい」
「……」
「ねえ、もっと力いれてよ先生」
「潰れたら怖いからしない」
「潰れないから！お願い」
「はい、おしまい」
「あっ……まだ……」
「困らせること言わないって言ってたよな？」
「………」
めちゃめちゃ渋々先生から離れたものの、往生際が悪い私は先生の手を掬ってぎゅうっと握った。握り返されはしないけど、自由にさせてくれる。やや興奮気味の心は勢い付いて怖いものなし。ほんの少しの出来心で先生の手の甲にちゅっとキスをしたらさすがに怒られた。
「今度こそ帰る。おやすみ」
「……うん、おやすみなさい」
「先生が出たら鍵閉めろよー」
「うん……」
先生は扉を開けて敷居の外へ出た。
暖簾はもう下げてあるから背の高い先生の顔もよく見える。
「そういえばA」
「……ん？」
「最近キムジョンインと仲良いな」
「えっ？べ…別に、仲良くないよ」
「一緒に写真撮ってたじゃん」
「あれは流れで……」
そこまで言って気付く。
チャニョル先生、あの時見てたんだ。
「ふーん。まあ、仲良いのはいいことだけど」
先生は帰る方を向いて適当な返事をする。
そしてこちらに向き直ったのは真剣な顔。
「あんまりくっつくなよ」
え、と丸い目を見ていたら『じゃあおやすみ』って、目の前から居なくなった。発言の意図を勝手に想像して、胸がぎゅんっとなりすぎて先生のことを見送れずにその場に踞る。
先生がやきもちを分かりやすく言葉にしてくれたの、初めてだったから。
涙は誰かの免罪符
END
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こむ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！パスワードがかかった作品は公開終了となっており、お教えしておりません。すみません！ (2021年10月5日 20時) (
レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - そらぬこさん» 攻防のときから！長らくお付き合いくださりありがとうございます！このあとの話も更新しましたので、まだお付き合いいただけるようであれば、ぜひ読んでくださると嬉しいです！ありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - omatsuさん» 遅くなってしまい申し訳ありません…。最高のひとことをありがとうございます！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - よーこさん» よーこさんありがとうございます！めちゃくちゃ遅くなってしまいすみません。あたたかいコメントに胸が熱くなりました；； (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ギョンちゃんさん» 大変遅くなってしまいましたが、こちらこそ読んでくださってありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月16日 19時
