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「先生…？」
「気持ちは嬉しいけど、せっかくなんだからもっと世界を広げて色んな人と触れ合って、素敵な大人になってきて」
「ん？うん……」
「ま、サークルには別に入んなくていいと思うけど」
「やっぱり？」
「バイトもするしな。じゃあお店戻ろうか」
名残り惜しく思いながら電話を切り、来た道を引き返す。私だけ帰るかと思ってたけど、先生はしっかり家まで送り届けてくれるみたい。のんびり歩いてるつもりでも、他愛のない話で笑ってたらあっという間だった。家と家の近さを思い知らされる。
「こんなに近かったらうっかり先生の家に行けちゃうな…」
「うっかり来るな」
「毎日ラインしていい？」
「仕事で返せないときもあるけど泣くなよ」
「それはわかってる！」
「ほんとかな」
「ほんとです」
お店の暖簾は下がっていた。電気もついていない。直接家に帰るため、お店の裏に回って階段の前で立ち止まった。
「じゃあね先生…送ってくれてありがとう」
「いいえ」
「あの！こ、今度……」
「ん？」
「今度一緒にどこか行きたい…それもだめ？だめかなぁ…」
定食屋のデートも嫌いじゃないけど、定食屋を飛び出したい。でもデートくらいだったら別に付き合ってなくてもみんなするよね？
「どこかって？」
「えー、カフェとか映画とか公園とか海とか川とか山とか」
「カフェ好きだねA」
「カフェデートは一番の憧れ！」
「でもジョンインとしてたじゃん」
「……」
「黙った」
「あれはデートじゃないし！」
「へーそうかぁ」
「なに！」
「いや？じゃあ今度どこか行こう。でもカフェ以外」
「え！なんでぇ？！カフェデートが一番の憧れって言ったばっかり！」
「でもAが俺以外の誰かと行ったところは嫌」
先生は前に腕を組み、片足に体重をかけて立った。
「一番の憧れなら取っとけよ」
たまに漏れてくる先生の嫉妬心には、いつも口を封じられてしまう。そして納得もさせられてしまう。
「たしかに。ごめんなさい」
先生は軽く笑ってゆっくり後ろへ下がっていく。
「ま、連絡して」
“連絡して”、なんと幸せな響き。もう出来るんだ…。
「する……」
「じゃあおやすみ」
「おやすみなさい先生」
あ、
「チャニョル」
今まで散々呼び捨てにしてきたのに全然違う。味も感触も温度も全部違う。呼ぶ程に“好き”が膨らむ。
「おやすみA」
先生も私の名前を呼んだとき、同じ気持ちになってると嬉しい。
膨らめバルーン
END
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こむ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！パスワードがかかった作品は公開終了となっており、お教えしておりません。すみません！ (2021年10月5日 20時) (
レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - そらぬこさん» 攻防のときから！長らくお付き合いくださりありがとうございます！このあとの話も更新しましたので、まだお付き合いいただけるようであれば、ぜひ読んでくださると嬉しいです！ありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - omatsuさん» 遅くなってしまい申し訳ありません…。最高のひとことをありがとうございます！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - よーこさん» よーこさんありがとうございます！めちゃくちゃ遅くなってしまいすみません。あたたかいコメントに胸が熱くなりました；； (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ギョンちゃんさん» 大変遅くなってしまいましたが、こちらこそ読んでくださってありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月16日 19時
