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・・・
ベクがいつの間にかとんでもない奴になっていた。昔は自分の兄貴と遊ぶ俺の後ろをついて回って『ちゃのる遊べ！』って言ってきていたのに。
「ちょっと強いの作って」
そう言ってカウンターを背にして寄りかかるベク。さっきまで楽しそうで弾けんばかりの笑みを浮かべていたのに、再びカウンターにオーダーしに来た時には疲れや落胆を感じさせる表情をして俯いた。
「おいおい、主役がそんなんじゃダメだろ〜」
主役だからこそ疲れるだろうけどさ……
からかいながらやや強めのカクテルを作ってやる。ベクはちらりとこっちを振り向くもすぐに前に直り、『なぁチャニョル』と話し掛けてきた。
「んー？」
「セフンが今何してるか知ってる？」
「セフン？あー…うん。社長だろ」
確か、オジョーサマのお世話係を辞めて会社経営に携わることにしたって久しぶりにクラブに現れた本人から聞いた。それももう五年以上前の出来事だけど。
ただの転職の話かと思えば『南の島に移住する』って言われてちょっと寂しくなったけど、二年ほど前だったか、また突然クラブに現れた。
久しぶりに見たセフンはあの頃とちょっと雰囲気が変わっていた。元々大人っぽかったけど、頼れる男感が加わった感じ。こっちに帰ってきたのかと尋ねたら『演奏会に行った帰りに寄った』と笑えることを言ってた。
『演奏会？お前が？わかるの？』
『全然わかんない』
でもここ数年の間、定期的にこっちに戻ってきては演奏会を見に行ってたらしい。趣味も変わったなぁってからかえば『社長なんで』と笑って言う。最初はまたワケわかんない冗談かと思ったけど名刺を渡されて、信じざるを得ない状況になった。
『えっ、マジで？』
『もしこっちに来ることがあればスイートルームくらいなら用意してあげるよ』
『おいおい……どんな人生送ってんのお前……』
『こんな人生』
笑顔のセフンを見て、えらい人生送ってんなぁと思った瞬間はよく覚えてる。
社長、と言った瞬間、ベクが勢いよくこっちを振り向いた。目と口を真ん丸にしてビックリしてる。
「社長！？」
「うん。南の島でリゾート開発する会社？っての？俺そういうの全然わかんねーからよくわかんねーけど」
ずっとフリーターやってたし、今はバーテンとして働いてるけど会社員じゃないし。
「はぁ……？マジで？嘘つくなよ」
「嘘ついてねぇよ！俺も最初冗談かと思ったけどすっげー洒落た名刺もらったからさぁ……はい、出来た」
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです！ありがとうございます (3月8日 19時) (
レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした！そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です；；私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして！コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません；；泣いてもらえるとは…！笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました；；最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)！ (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま！お返事がとんでもなく遅くなってすみません；；何度も読み返してくださり本当にありがとうございます！ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月9日 22時
