: ページ50
.
楽しいことっていうのはどうしてこうもあっという間なんだろう。いつでもどんなときも、時間はみんな同じはずなのに。
二泊三日の温泉旅行から帰ってきてしまった。空港に着いてからまたみんなに少し世話を掛けたけど、荷物を受け取ったあとはお別れだけとなった。
次に会うときは卒業式だから別れ惜しくて、うちの車に乗って行かない？って聞いてみたけど、みんな遠慮して一歩も動いてくれないから渋々私が折れることにした。
「お迎えのところまで送ろうか？」
「大丈夫だよ！真っ直ぐ行けばたどり着くし」
「真っ直ぐ歩ける？」
「そんなにポンコツでも赤ちゃんじゃないから！」
「ごめんごめん、じゃあまたね！」
みんなに手を振り、くるりと向きを変える。空港の出口の真正面には見慣れた車と微笑むジョンインが待っていて、私と目が合うとニコッと歯を見せて笑った。
「おかえりなさいませお嬢様」
「ただいま。お迎えありがとう」
「とんでもございません。ではお荷物を」
荷物を預けて先に中へ入ると運転手さんが『おかえりなさいませ。楽しかったですか？』と話しかけてくれて、それに答えているとトランクに荷物を詰め込んでくれたジョンインが車に乗り、運転手が周囲を確認してゆっくりと発車した。
こんな流れを見て、いつも通りの風景だな、帰って来たんだなと実感する。私にとってはこれが日常であり、みんなといた時間が非日常だ。だから本当に楽しかった。そして、この先しばらくはあの非日常を味わえないのかと思うとブルーな気持ちにもなった。
「ご旅行はいかがでしたか？」
「すっごく楽しかったよ！ジョンインはよく休めた？短い間の休暇は楽しめた？」
「はい、お陰様で」
「それはよかった」
「ですが一人で休むくらいならお嬢様とオセロをする方が楽しいです」
「それ私が絶対負けるからでしょ？」
帰って来て早々主人をからかうなんてどうかしてるよ。冗談っぽく睨み付けると楽しそうに笑って『そうですね』って、あんなに真面目だったのにセフンっぽくなってきたな。
「そういえばジョンインにお土産買ってきたよ」
「え？そんな、お気遣いなく」
「くまちゃんのキーホルダーあげる。好きだったよね？」
今度は私がからかうつもりで、かわい”すぎる”くまちゃんのキーホルダーをあげたら、案外『ありがとうございます』と嬉しそうに受け取ってポケットに入れてたから、本当に好きなんだってちょっと力が抜けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 512人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こむ(プロフ) - アキナさん» アキナさん、遅くなってすみません；；めちゃめちゃ嬉しいお言葉をありがとうございます(T▽T)アキナさんのお初をいただけて光栄です……！！ゆっくり更新になっていますが、ぜひ最後までお付き合いいただけたら幸いです！ありがとうございます〜(*^▽^*) (2019年10月20日 15時) (
レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
アキナ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！このお話大好きです！こちらのサイトのお話で初めて泣きそうになりました(ベッキョンとのところで)更新楽しみにしてます！ (2019年10月10日 7時) (レス) id: e981ced4a9 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ともはさん» ともはさん！更新が遅くなってしまいがちですが、ここまでついてきてくださって本当にありがとうございます〜〜；；めちゃくちゃ嬉しいです；；セフンはどうしてるのでしょうか……この先更新頻度をあげていこうと思っています^▽^最後まで宜しくお願いします〜！！ (2019年9月15日 22時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ともは(プロフ) - こむ様 更新ありがとうございます！嬉しくてイッキ見したので今からじっくり読みます^ ^ セフンはどうしてるのかな？(；ω；) (2019年9月14日 20時) (レス) id: d21995dfcd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむ
| 作成日時：2019年8月11日 21時
