嘘の花束#8

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「場所変える？」
「……ううん、いい」


相応しい場所に移る時間さえ惜しい。一刻も早くこの燃えるように熱い体をいつもより激しく抱いてほしい。私がこんなに積極的になれるのは、きっと相手がジョンデさんだからだ。


・



優しくて頼りがいがあってたくさん尽くしてくれる。でも二人きりになると一転してびっくりするくらい甘えてくるのも、忘れてはならない。


さっきまでは『好きだよ』とか言ってくれたけど今は『好きって言って？』って言ってくるし、すり寄ったら抱き締めてくれたけど今は抱きついてきてすりすりしてくる。


「絶対好きになっちゃダメだよ」


そんな聞き飽きた台詞を耳に直接吹き込み、ぎゅうっと体を締め付ける。


でもこの台詞、頭には『俺のこと』ではなく『ベッキョンのこと』がついていた。


実は明日からベッキョンさんと私が仕事で組むことになっている。海外出張まではしないけど、ちょっと遠出して一泊の出張は全然あり得る。モテ男たちになんだか縁がある私に、女子たちは『マジであんたは前世でどれほどの徳を積んだの？』と嫉妬していた。


それはジョンデさんも同じようで、決まったときから『イヤだな』って言っていたけど、さっきお風呂から上がってスマホを見たらベッキョンさんから『明日からよろしくねー』と連絡が来ていたのを見て、落ち着いていられないらしい。


「ならないですよ」
「わかんないでしょそれは。だってそう言って今があるんだよ？」
「……とは言っても」
「可能性はゼロじゃない」
「もう！めんどくさいなぁ」


自信ばっかりあるのかと思えばめんどくさくて、超かわいい。だから私ジョンデさんのこと好きになったんだよなー。多分本当に優しくてイケメンなだけだったら今はない。


「ベッキョンも結構めんどくさいよ」
「……そんな一面を知りたい気はするけど」
「ほらぁ」
「ごめん、うそです。ジョンデさん以外に興味ないよ」


お腹を締め付けるジョンデさんの腕をほどいて、寝返りを打って向き合う。すかさず顔が近付いて来てもう嫌ってほど唇を食まれた。薄い唇は想像以上に柔らかくてたまらない。ゆっくり離れると、弧を描く。


「そしたら今度はAちゃんが言う番だね」
「……ん？何を？」



私のこと好きにならないでねって。






END





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好きにならないでねって一線引かれたジョンデに最終的に尽くされる話(要約)です！お待たせしました♡リクエストありがとうございました！

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