嘘の花束#8

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やっと一人の空間で、ばふっとベッドに倒れ込んで布団を握りしめた。なんとでもないように"頑張って"接しているだけであって、早く一人になって悶えたかった。だから早く帰ってほしかったのだけど、そこまでは汲み取れないみたいだ。


これってなんだろう。


ただ勢いに任せてヤっちゃっただけ？１ヶ月の海外出張最終日にヤっちゃうって…セオリー通りすぎて恥ずかしい。好きって言えなかったし、付き合ってくださいとかも言えなかった。でも言ったって、離ればなれになっちゃうんだよね？あ、辛い…。


泣きそうになっちゃって慌てて起き上がる。
ぐちゃぐちゃになった枕をぼーっと見つめて、結局ぼふっと顔を埋めた。


やっぱり恥ずかしい！やばい！なんかジョンデさんのことめっちゃ好きなんだけど私！心が痛い！これ友達に『ふぅん』って言われちゃうやつだ！やばい！ジョンデさんみたいな人好きにならないって、それこそ自信満々だったのに、私！普通になってる！


「あれ？寝た？」


シャワーを終えたジョンデさんが、枕に顔を埋めてうつ伏せになっている私を見て一番にそう言った。寝てないですよ、って言う前にベッドが沈んで、肩にちゅっとキスをされた。

あの、これじゃ起きれないです。


「………どうしよ」


低い素の一人言のあと、うますぎる鼻唄が聞こえて私の体に布団を掛けてくれた。下着姿だったからお布団一枚があったかい。そして気配がなくなりドアがバタンと閉まった。謎なくらい胸が苦しい。




次の日、部屋に忘れ物がないか２回ほど確かめてドアを開けた。１ヶ月滞在したホテル、特に不便もなく過ごしやすかった。ジョンデさんも同じタイミングで出てきて笑顔を見せる。


「おはよう。寝れた？」
「はい。ジョンデさんは？」
「この１ヶ月でいちばんぐっすり」
「それはよかったですね」


キャリーケースを引き摺ってバスに乗り、空港でチェックイン済ませてからやっと一息ついた。待ち合い席で並んで座り、飛行場の飛行機や働く人々を大きな窓越しに見つめた。


「えっ」


急にジョンデさんが声をあげ、なんだなんだと隣を向くと、もう一度『えっ』と言った。

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