嘘の花束#8

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ジョンデさんは私のとっくりにもお酒を注ぎ、私に飲ませるでもなくジョンデさんが飲んだ。ジョンデさんの前にはおちょこが２つ並んだ。


「人に関心ないようでほっとけないんだろうし、感情もちゃんとあって話しやすいって思い直しました」
「ただ逆なだけじゃん…」
「かつ、関心持たれてないって分かったらかまってほしいし、かまってもらえないと寂しくなったし、しっかりしてるAちゃん見てたら甘えたくなっていざ甘えたら甘やかしてくれるし」
「………甘やかしたっけ」
「あ、俺意外とこっちの方が好きかもって思った」
「こっちの方？」
「女の子を甘やかしたり優しくして好かれるよりかは、好きな人を追っかける方が好きってこと」


そこまで言って店員さんを呼び、お水を２つ持ってきてもらっていた。１つは私の前に置いて『どうぞ』って眉をあげた。


「まあ、Aちゃんだけにかもしんないけど」


キンキンに冷えた水を無我夢中で体に流し込んでいるはずなのに、全然体も頭も冷えない。


「今まで付き合ってきた彼氏ってどんなタイプだった？」


甘えられること多かったんじゃない？って、微笑みながら言われ過去の彼氏たちを思い浮かべた。やっぱりクセのある顔で中身も陰気で卑屈で面倒くさい人たちばっかりだけど、そんな彼らは決まって私に甘えてきていたかもしれない。女の子は苦手って言うけど、私には心を開いてる感じが好きだった。


「そうですね」


でも結局フラれるのは私だったという謎。
何でだよ！って思いながら去るものは追えなかった。


「あはは、やっぱり」


ジョンデさんは笑い声を漏らしていたけど、ふと顔を引き締めた。


「あ、なんか甘えてんの俺だけじゃないって思ったら悔しくなってきた。もっと飲んでいい？」


ジョンデさんにも過去にやきもちを妬くダサいところがあるのか。


「……どうぞ…」
「介抱してね」
「じゃあダメです」
「なんで？」
「めんどくさい」
「めんどくさくて悪かったな」
「開き直るのやめましょう」


結局ジョンデさんが酔っ払うまで、お酒が途切れることがなかった。私は途中からお水しか飲んでないからだんだん酔いは覚めてきたけどジョンデさんは逆で酔っていくだけ。ほんのり顔を赤くして、よく笑いよく話し、よく私を見つめてきた。

大将に『"おいしかった"』って言ってお店を出て、ホテルの方へと歩いているとジョンデさんに手を掬い取られた。

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