: ページ31
.
デスクにもどって作業を進めていたら、ベッキョンが外から戻ってきた。
「戻りましたぁ」
「おかえり、お昼食べれた？」
「なんとか！あ、これどうぞ」
「えっ、わー、ありがと」
どこかで買ってきたのか、新鮮なカットフルーツをくれた。疲れてるだろうけどニコニコしてるベッキョンの優しさに、さっきまでやさぐれてた心がほんわか温かくなる。
「これなら食べれましたよね」
「うん、嬉しい…でもこの前も貰ったよ」
「いいんですよぉ。A先輩が元気になったら飯おごって！」
私の癒し、ベッキョン。
さっそくペロリと頂いて仕事を再開していたら、遠くからベッキョンの名前を呼びながらこっちに近づいてくるあの女。せっかく癒されたのに、男に媚びる声色に胸がざわざわする。
「ベクちゃーん」
呼ばれたベッキョンは、パソコンから女に視線をやった。
「はい」
「ちょっとこれお願いできる？」
「あ、はぁ…」
「本来誰かさんがやるやつなんだけど、私に回ってきて」
「はい」
「私も忙しいから大変なの。残業だわ」
「…」
「早く帰れていいよね、あんたは」
急に私に向けられて発せられる言葉。早く帰らせてもらってるのは検診の日だけだし…とかはこの人には関係ないんだろうけど。
「私も妊娠すれば楽できるかしら」
キーボードを打っていた手が思わず止まる。気にしない、気にしない。でも手が動かない。
「…酷いっすね」
そんな私のかわりにベッキョンが、いつもと違って怖く感じる低い声でそう言った。
「そう？誰かがこの人の仕事を引き継いで残業、でもこの人はさっさと帰るのよ」
「…いや、そんなこと考えたこともないっす」
「ベクちゃんも仕事増えて大変そうじゃない」
確かに、一緒に仕事をすることが多かったから私の仕事を１番引き継いでいるのはベッキョン。ニコニコして何も言わないどころか私を気遣ってくれるその姿にすごく助けられていた。
でもやっぱり、言わないだけで実際は大変だよね。
「何か言えば？」
ねぇ、って肩を掴まれてくるりと回転させられる。意地悪な顔が私を見て笑う。
「親があなたでその子もかわいそう」
私のお腹を指差して小さな声で呟く。
どうしてこの女にここまで言われなきゃいけないわけ？それに私が親でかわいそうなんて一番自分でわかってるよ。
さすがに頭にきて急に立ち上がったら、立ち眩みみたいにフラッとして、そのまま目の前が真っ暗になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1535人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こむ(プロフ) - arikuiisexoxoさん» きゅんきゅんしたい！と思ってこの小説を選んで貰えて嬉しい(´；ω；`)一気読みありがとうございます！恥ずかしさをごまかすいじらしい二人ですよね(*^^*)笑 デレデレに愛されてしうちゃん不足を少しでも埋めてもらえたら嬉しいです〜〜！ありがとうございます(*^▽^*) (2019年5月25日 11時) (
レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
arikuiisexoxo(プロフ) - しうちゃん不足すぎて、久しぶりにしうちゃんできゅんきゅんしたくて、一気読み中ですw やっぱこのお話好きです！両方ともデレて恥ずかしいセリフを言った後の塩なリプライが逆にほんわかして好きです！んで、デレまくるミンソクが、、、、、なんとも。大好き>.< (2019年5月14日 11時) (レス) id: e6ce84a282 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ミナホさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます！私が今よっしゃー！ってなってます＼(^o^)／読んでいただいてるだけでなく、タイトルの意味を考えてくださっているなんて感無量です。もっと大切に書いていきたいと思います！最後までお付き合いいただければ幸いです。 (2017年10月1日 10時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ミナホ(プロフ) - すごく楽しみで、更新通知が来てると「よっしゃー！」ってなります。同棲あるあるも共感できます。そして、今はタイトルの「正しいプロポーズ」についてすごく考えさせられています！！ (2017年9月26日 22時) (レス) id: 1aa9319c05 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ヨリさん» ありがとうございます！嬉しいです…！最後までお付き合いいただければ幸いです(^○^) (2017年9月26日 0時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむ
| 作成日時：2017年9月4日 23時
