エ イ ジ 系 彼 氏 の 日 常 ４

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たかが10分も長く感じてしまうような

時間の流れの遅さに

益々もどかしくなりながら






大体、30分くらい待った頃だろうか。







ガチャンと、ドアが閉まる音がして








「ただいま」







と、玄関から聞こえたのは







心配した割に合わないくらい

いつも通りの声。







ずっと待っていたえいちゃんの声だった。








だから、それを聞いた瞬間に

すっと体の力が抜けていくのが分かる。







私は、ずっと不安だった分

一気に安心した。







_____なのに、どうしてだろうか。







リビングに入って来たえいちゃんに







「………」







おかえりの一言も言えないまま

私はただ、えいちゃんを見つめていて






「………ｯ」







ゆらゆらと視界が揺らいでいき、

頬に伝わっていくのは、何故か







自然と溢れ出てくる、涙の粒。







「え、待って、泣かないでよ」







って、動揺してるえいちゃんの顔も

見えなくなってしまうぐらい

涙でいっぱいだった。







どうやら私は、

極度な不安から解けると

泣いてしまうタイプの人間らしい。







「………おかえり」







なのに、それに比べて

えいちゃんときたら






帰ってきた瞬間に泣かれるっていう

意味わからない状況に対しても、

全て汲み取ったように







「ごめん、寂しかった？」







って、頭を撫でてくれるから

随分大人だ。







それに、







「連絡したかったんだけど…」






出来なかったんだよね、って

ポケットから出したのは、








「動画撮ってたら4人とも水没した 笑」







電源のつかなくなった、壊れた携帯。







直そうとしてたら

こんな時間なってしまったらしい。






なのに、私ったら

浮気なんかを疑って。







ほんと最低な彼女だ。







「この前2人で撮った写真消えたかもしんない」







ごめん、って

申し訳なさそうに言うえいちゃんに






「私の方が、ごめんなの…」






心の底から申し訳ないと思った。







________そして、







「よくわかんねえけど、

とりあえず泣き止んで？………………ね？」







って、親指で

頬の涙を拭ってくれるえいちゃんが







私はやっぱり好きだと思った。

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