短編集.com2 (ページ10)

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心残り@君を守りたいからページ10

「ありがとうございましたー」

『Aちゃん、休憩入っていいよ』と店主に声をかけられる

「はい、ありがとうございます」

あれから東京を離れて、群馬県のよくある定食屋さんみたいなところで働かせてもらってる

あれから、お母さんはあの人と離婚し、あの人は警察に捕まった

「お疲れ様でしたー」

店主「また明日もよろしくね」

「はーい、失礼しまーす」

歩いて帰ってる時、ふと本屋の店頭を見ると雑誌が飾られていて、

「…」

その表紙には、今も忘れられない彼が写っている

登録者数200万人を突破した彼らは、いろいろあったけど、もう少しで300万人に到達しようとしてる

あの日、ゆうたの家から去った後、

彼がどう思ったのかは分からない

連絡先も知らなければ、

私の居場所なんてもちろん分かるはずもない

ただ、ひとつ…

心残りがあるとしたら…

「今、どうなってるかな…」

あの日、

ゆうたの家から去った日、

私はゆうたの家にネックレスを忘れてしまったのだ

厳密に言うと、『話をしよう』と引き止められた時に外されてから、

ずっとゆうたがネックレスを持っていた

ネックレスは返されないままゆうたの家に行き、

優しく触れられて、そのまま寝て、

次の日に私はゆうたの家を出た

取りに戻ってしまえば、ゆうたと鉢合わせてしまうかもしれなかったし、

結局、あのネックレスは未だゆうたの手の中にある

お父さんの形見だから返してほしい、

でも、もうゆうたには会えない