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先延ばしにされた約束 ページ20

Y side






”結婚しようって“





店員さんの声がこだまして、脳内を埋める


新一だからそんなことはないと分かっていても、心のどこかで期待はしているんだ



20年前にも、ここで事件起きてるんだ


…物騒な世の中だなぁ






なんでもないことを考えながら新一を待つ。


わたし達より後に座った男女が、席を立ってレストランを出るのが見えた。



「おっそいなあ、」







_____

__________






「…、」



いくら待っても帰ってこない新一


わたし少し眠くなっちゃったよ

重たくなるまぶたをなんとか上げて前を見た



「……」




あれ、おかしいな




「…A姉ちゃん」


「コナンくん、」



いるはずないコナンくんがいるのはどうして?






「あのさ、新一兄ちゃん、…」


「…っ」


「急な事件が入って、それで、慌てて出てっちゃって、えと、あ!クレジットカードだけ僕に渡してくれて、…新一兄ちゃんバカだよね〜、」


「バカみたいだね、」


「う、うん」


「律儀に待ってたわたしがバカみたい」


「へ」


「……そっか、事件、うん」


彼がなんでここにいるのか理由も聞けないくらい余裕のないわたしを見て焦ってるようにも見えるコナンくんが口を開いた


「新一兄ちゃん、言ってたよ」


「大丈夫だよ励まさなくて」



コナンくんに伝言を残すくらいなら、直接言いにきて

耳を塞いでコナンくんの声を塞ごうとすれば、小さい体を伸ばしてわたしの手を掴んで耳から離す


少し痛いくらいに力いっぱい掴まれてる左手から伝わるコナンくんの温度。子どもなのに冷たいな、



「…待ってて欲しいって。必ず、必ず、死んでも帰ってくるから、Aに待ってて欲しい。」


「…死んだら会えないよばか」



コナンくんに言っても意味ないのに。



でも、苦しそうに、真剣に伝えてくれるコナンくんがどっかの誰かさんと重なって仕方なかった。





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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月19日 17時

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