デジャブ ページ19
Y side
「……あ、それで…えと」
「……、」
近くにいる男性達の会話に気を取られながら、懸命に伝えようとしてくれる新一
そんな新一を見て、生粋の探偵野郎だって思わず笑みが溢れた。
「いーよ」
「へ?」
「気になるんでしょ?事件」
「いやいや、!次の料理来ないかなーって!」
「もお。無理しちゃって」
「してねェよ」
ノンアルコールのスパークリングが入ったグラスを一気に飲み干して、料理を雑に食べ始めた新一の手を掴んで動きを止めた
冷た、
「…そんな怖い顔してご飯食べるくらいなら、前みたいに事件解決して無神経にスッキリした顔持ちで食べて欲しいな」
「お、う…」
いっといで。と、シルバーをお皿の上に置かせ新一に手を振った
「待ってるからちゃんと戻ってきてね」
「すぐ終わらせるから!」
「うん、気を付けてね」
「そしたら…、言いたかったことちゃんと言うから」
「待ってます」
わりィって、バチが悪そうに手を合わせて走り去る新一を目で追って、ため息をついた。
事件、事件、事件
いつでもどこでも彼には危険が近くにいて、心配になる。
特に最近は声しか聞けなかったから会えたことがすごく嬉しかったのに、
「事件に負けたかぁ、」
小さく呟いて、異様にキラキラと光る夜景に目を向けた
綺麗にデコレーションされた料理に手を付けられなくて、出された状態のまま下げてもらうことにした。
「デザートはどうなさいますか?」
「デザート、、もう少し待ってもいいですか?」
「はい!…ふふ」
肩を少し上げて優しく笑う店員さんに首を傾げる
「?」
「あ、聞いた話を思い出しましてお客様に似てるなぁと」
「はぁ…」
「お連れさま、探偵か何かですか?」
「ただの探偵気取りの高校生ですよ」
紅茶を注ぎながら聞く店員さんに苦笑いしながら答えた
「高校生かぁ、じゃあ告白になるんですかね?」
「こ、?!」
「聞いた話なんですけど、20年前にこの席でお客様のような方がいたらしいんです。お連れさまが事件で席を外れ、解決させて戻ってきた瞬間言ったんです」
声を少し潜めて話す店員さんに自然と前屈みになって、喉が鳴る
店員さんがわたしの耳に口を寄せて呟いた
「結婚しよう、って」
「…!」
思わずのセリフに姿勢がピンと張り、店員さんが笑った
「だからお客様もそうかもしれないですね!」
爆弾を落とすと、綺麗なお辞儀をして彼女は去った
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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月19日 17時