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続くことはないと思ってる ページ14

Y side



噛む回数の差なのか、新一はもう食べ終わっていて頰杖つきながらわたしが食べ終わるのを待っている


「そんな見られると食べづらい」

「おー」


って言いながらも目線は全然外れないし、もしかして食べたいんじゃないかって思ってきた

この前誘った時は行かないって言ってたのに、どう言う風の吹き回しなんだろ。

…新一がここにいるってことはコナンくんはただの空似?

似過ぎだけど


「あ、さっき言ってた大事な話って?」

「…ここで言うかよムードってのがあんだろバーロー」

「……」


ムードってあんただけには言われたくないな


「つかチビチビ食べんなよ、パフェ連れてってやるから早く食え」

「ほんと!」

「おーおめーが後10秒で食えたらな!」

「〜〜!」


連れてってくれる気ないじゃん!

カウントダウンし始めた新一に、いいこと思いついた。後残り2口分ぐらいある焼きそばを箸で持って


「5…4…ングッ!?」

「よしこれでわたしは食べ終わったよ新一」

「……おめーな」


油断しまくりの新一の口に突っ込んだ。幸い落とすことなく全部食べてくれたのでいいでしょう


「あーんって普通もっと色気あるもんだっつーの。」

「あーんじゃないもん」

「そーかよ」


御馳走様を言って席を立つと当たり前かのようにパックとお箸を持ってゴミ箱に捨てに行ってくれた新一に感心する

乙女心はわかってないのに、そう言うところはきちんとしてるよな

お礼を言って教室を出ると人が何気閑散し始めたようで文化祭の終わりを告げている


「間に合うかな?」

「無理そうだな。雨で30分繰り上げだからもう少しで放送入るだろうぜ」

「……ふーん」


隠しきれてない哀感に新一の前を歩きながら自分の教室へと向かう

新一の私を呼ぶ声が聞こえたかと思うと一瞬で隣に並んできた。わがままな顔になっている自分を見られたくなくて俯いたのを新一は気づいていない。

別に、いいんだけど

ただまだ新一と食べたいだけなんだ

最近は全然会えないからこういう時でしか、ご飯一緒に食べれないし

今日が終わればまた、どこかに行っちゃうんだろうな


隣じゃなく、少し前を歩き始めた新一の背中を見て、前まで近かった気がするのに、遠くなった気がした

彼が不意にこっちを向くから慌てて目を逸らすと、少し覗き込みながら私に声をかけた


「なぁ」

「ん?」

「明日の夜って暇?」

「んー…暇だよ」

「わかった」


また前を向いた新一に疑問だけが残った。

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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月19日 17時

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