フィナーレにふさわしい ページ34
Y side
ホールに戻ると、心配してくれたのか子ども達が駆け寄って来てくれた。大丈夫かと中森警部達にも言われ、ただのかぶれだったのにこんな心配させてしまったのかと思った。
少し離れたところに私たちを恐怖に陥れたテロ集団が縄で縛り上げられていて、いつのまにか起きている小五郎さん達がやっつけたんだろう
きっとお宝はまだ、リーダーの手の中。新一は手に入れてないはずだから船内にいるだろうと思って探そうと歩き出すと腕を引っ張られた
「きゃっ…!?」
「A!!」
「うごくなよ?」
頭に当てられる冷たい感触、首に回されている少し色黒い肌。私の身長が足りないせいか、無理やり上げられて息が苦しい。目が変わって今にも殴りかかりそうな蘭の後ろから、もうひとり拳銃を持った女の人が蘭の頭に拳銃を当てた
「江戸川くん!犯人がもう2人。Aさんを人質に取ってるわ」
どうやらこの人達も犯人の仲間で、哀ちゃんの探偵バッチから流れるコナンくんの声が聞こえた。
本当に息が切れそうで、必死に吸い込もうとすると逆に咳き込んでしまうと私に首を回していた男が「あ、わりーわりー」と笑いながら放してもらえた。
蘭達のところへと駆け寄って、乱れた息を整える。仲間割れをしている彼等を見ていたら、子どもから順番に呼ばれて行って、テロ集団と同じように、みんな柱に縄で括り付けられてしまった。
キツく結ばれた手首はまだ腫れているその手には痛くて泣いてしまいたくなる。
「大丈夫…新一が、なんとかしてくれる、きっと」
誰にも聞こえないくらいの声で、自分に言い聞かせるように言葉を零した瞬間。
船は徐々に徐々に地球と垂直になり、縄で括り付けられた私たちは壁に打ち付けられることはなかったけど、犯人の仲間の2人は無防備の状態だったからそのまま壁に激突
自動操縦で船はまた並行へと戻ったが、激突した2人は気を失っていた。
そんな中ルパンが急に吠え出し、ドアの方から白を纏った奇術師が入ってきた
「いやー、おどろきました!ホールの様子を見にこようとしたら飛行船が急に傾くんですもん」
あれ…
「コナンくんは?!」
「あの坊やなら無事ですよ。もう時期ここに来るでしょう。」
彼はこちら側まで歩いてきて、蘭の質問に私の縄を解きながら答えていた。
その姿は、怪盗キッド。
何故か、この人は新一だと確信出来なくなった自分がいた。
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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月4日 22時