奇術師の頭の中 5 ページ25
K side
「ああ、どうも…って、なんでここにいるんだ!」
「あ、知り合いの子が寝てしまって、今すぐ起こしますね」
ポーカーフェイスを保ったまま中森警部と話して、彼女の肩を揺する。ちょっと色っぽい寝起きの声が聞こえて、目が覚めたと思うと、知らない人(俺)が目の前にいてびっくりしたのか、はたまた、刑事が何人もいたからびっくりしたのか。彼女は掛けてあった毛布を掻き集めて自分を守る体制に入った。
「っ…」
思わず笑ってしまって、彼女の頭を撫でながら、病人がいるみたいだから出るぞと声をかけた。状況を理解するとすぐ様靴を履いて、ベッドから退いた
トレイを持って部屋を出ると病人らしき人をベッドに座らせる刑事達から、殺人バクテリアがこの飛行船の中にばら撒かれたと聞き、連れてこられた2人の様子をみて、思わず彼女の手首を取り俺の後ろに回した。
不思議そうに俺を見る顔が横目で確認できた。
「どうかした?」
「いや…、あ、ケーキ持って戻れ」
「新ーは…?」
「は?…あ、あー、ちょっと用事」
「…わかった」
自分の名前じゃない名で呼ばれて少し冷たくなってしまったがなんとか不安そうな彼女を先に行かせて、何も用事はないけど少し遅れてホールへと戻る。
あの名探偵が彼女に駆け寄ってると思ったがソイツと、あと数人のガキの姿が見えなかった。
まあ俺には関係ねーし。と、彼らから離れた場所に立つ
「……」
さっきの連れてこられた2人。体のどこかが赤くなっていて、殺人バクテリアの症状だと思う。そしてそれに似たものが彼女の手首にも。
って、あああ!なに考えてる!首を突っ込むな。これは俺とは関係ねーことだ。
「……」
空手の姉ちゃんに何やら、問い詰められて顔を赤に染める彼女を盗み見る。名探偵を探してるのかキョロキョロしていた彼女がチラッとこっちを向いて、すぐ逸らされたかと思えば、照れたように彼女が笑ったのが見えた。
「〜〜〜っ、クソ…」
めちゃくちゃ可愛いじゃねえかよ!!
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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月4日 22時