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奇術師の頭の中 ページ21

K side



クソー。空手の姉ちゃんに捕まるとは思わなかったぜ。なんとか誤魔化せたみてーだから、この後関わらねーようにしねぇと。

エレベーターの中で、そんなこと考えながらさっき咄嗟に腕を掴んでしまった女の子を横目で見る。

黒のワンピースに、ミディアムロングの黒髪。服装はミステリアスに見えるけどあどけなさそうな顔がなんとも可愛い。ま、今はなんか悲しそうにしてるけどそれも可愛いって言うかー。唆られるって言うか?出るとこ出て引っ込んでるとこ引っ込んでるから尚更いい!

って、そう言うことじゃなくて。

あの坊主と一緒にいる所を見たことはないし、あの鈴木財閥のお嬢さんやこの空手姉ちゃんといる所見たことねーから、テレビ局の関係者か?

そーだよな!高校生でこんな発育いいわけがねーし。

くぅーッ 手があんな柔らかかったらきっと…!!!



「私信じてないから。」

「……わたしはこれで」



いつの間にかエレベーターは着いたようで、先に歩き出した空手の姉ちゃんが振り返ってそう言った。話聞いてなかったから反応遅れたけど、まあポーカーフェイスは保ててたし大丈夫か。

黒ワンピの女の子にもお辞儀をして、階段を降りる


おし、これであとはキッドとしての仕事を…


「まって」

「……」


なんだよ〜〜!次は何だってんだよ〜。

手首を掴まれて、振り向かず止まった。…って、あれこの感触…

「…あ」

思わず振り向いて、驚いた。俺の手首を掴んだのは空手の姉ちゃんじゃなくて、もうひとりの女の子。少し眉間にシワを寄せてて、泣きそうな顔をしてる

なんだなんだー?まさかこの子キッドファンか?


「しん、いち…」

「……?」


もしかして名探偵とお知り合い?

そんなこと考えてると、上の方から何やら風を切る音が聞こえて、思わず彼女を引き寄せてしまった。


「あ…えっ」

「静かに。」


頭を手で抱き寄せると、彼女が俺のシャツの裾を掴んだのがわかった。

上ではどうやら、藤岡ってヤツが空手の姉ちゃんにちょっかい出したみたいで、技を決められてた。

うーわ、俺もさっきヘマしたらアレ食らってたのか。


「あは…あはは、」


思わず自分を嘲ると、左手で何やら動く感じがして目線を下げた。…あ、やっべ。忘れてた


「なんかあったの…?」

「いや、大丈夫ですよ。何もなかったです」


胸から離れた彼女に愛想良く伝えると、嫌そうな顔で言った


「その喋り方やめて。」

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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月4日 22時

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