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三年や四年になっても、クロの話題は尽きなかった。
それどころか逆に盛り上がるくらいである。
低学年からAと同じクラスの子にも、まだ見えている子と、もう見えなくなりつつある子がいることがわかってきた。
「Aちゃん、今日ほうかご空いてる?」
「ごめんね、今日はサーくんにお外であそばないでって言われてるの」
「そっかぁ、じゃあわたしもやめよっかな」
こういう時は、大抵放課後に雨が降るのである。
天気が読めているのか、未来が見えているのか、どちらなのかはさっぱりわからないが、どちらにせよその事が嘘になったことはなかった。
「Aちゃん、先生がよんでるよ」
「わかった、今行くー」
「あ、あとサーくんも」
「ほんと? 行こ、サーくん」
『ああ』
しばしば呼び出されることがある。
「Aちゃんもさ、サー君に学校に来ないでって言って欲しいんだよね」
「でもわたしはサーくんの”アイボウ”だから」
「でも学校にいられちゃだめなんだよねぇ……ね、だから」
「どうして? どうしてだめなの? わたしとサーくんはふたりでひとりなんだよ? だよね、サーくん?」
「……あー、じゃあ、そうだ、せめて他の友達に見えないようにしてくれる?」
『最初からA以外には見えてねえっての。つーかあいつらはAの友達じゃねーよ、死にてえのかお前?』
銃口を額に当てる。
当てられたらしい先生はその違和感と恐怖に表情が強張る。
「サーくん! おちついて、じゅうをしまって!」
『んだよー、いいじゃねーか一人くらい』
「一人でもだめーっ!」
『ちぇ、仕方ねーな』
銃を下してしまうと、Aの頭に手を乗せた。
『相棒が言うならやめとくぜ』
「うん」
「え、ええと」
「あ、だいじょーぶだよせんせ、今はうたないようにせっとくしたところだから」
「そ、そうなの……? と、とにかく、あまり他の友達の迷惑にならないように!」
「だいじょーぶだいじょーぶ、サーくんはやさしいから」
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作者名:koto | 作成日時:2018年1月22日 23時