【テニプリ】副会長ですが何か。2

合宿3日目13-伊達眼鏡さんとおやつを ページ10

色々考えながら私がじっと見つめていたのに気付いた忍足くんは少し居心地悪そうにした。すみません、つい癖で、と謝ると、「やっぱり自分おもろいで」と笑われた。2回目だよ!と不服そうにしているのが顔に出ていたのか、忍足くんは又もやくすりと笑って、「あ、そや」と話題を切り出した。

「此処ってキッチンぽいけど、何か作ってたん?」

『あぁ、丸井くんに頼まれておやつを作っていたんですよ。今オーブンで焼いているところです』

「なるほどな…道理でええ匂いすると思たわ。廊下まで漂ってたで」

『そうなんですか!…あ、もし良かったら出来立て食べますか?』

もうすぐ焼きあがると思うので、と付け加えると、「…ほんまか、」と物凄い喰いつきようで、そんなにお腹が空いているんだろうかと首を傾げる。するとまた笑われた。忍足くんはさっきから人を笑いすぎである。

『もう、何がそんなに面白いん…あっ』

「焼きあがったようやな」

タイミングが良いのか悪いのか、ちょうどオーブンが焼きあがりを知らせた。中途半端に言葉を止められ、もやもやしたまま天板を取り出す。より一層辺りに香ばしい香りが漂った。ふと忍足くんの方を見ると、頬杖をついて此方を見ていた。どうやら相当楽しみなようなので、さっと切り分けて幾つか皿に盛り、テーブルに置いた。

『すみません、コーヒーでも沸かしておけば良かったんですが』

「勝手に来たのは此方やし、気にせんでええよ。…これ、ブラウニーか?」

『ふふ、惜しいですね。これは、エナジーバーと言うんですよ』

「?…何やそれ。初めて聞いたわ」

『簡単に言うとプロテイン入りのナッツヌガーです。練習後に食べるなら、手軽にプロテインが摂れるものが良いかと思ったので』

そう言うと、忍足くんは息を吐き出しながら感心したように、はーそうなんや、と言った。忍足くんは何でも知ってそうなイメージがあったので、少し意外に思いつつ皿をずい、と勧めると「せやったら俺も練習終わりやし、ちょうどええな」と一つ口に含んだ。その様子をそわそわと見ていたのが分かったらしく、忍足くんは今日何度目かの笑顔を見せた。

「…めっちゃ美味いやん」

『本当ですか?ありがとうございます』

「おん。ええお嫁さんになれるで」

『?いやいや、これだけでは無理ですよ』

笑いながらそう言うと、忍足くんは一瞬何故だか少し微妙そうな顔をしたが、すぐにまた笑ったのだった。

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エナジーバーは弟がよくバスケの練習後に食べています

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