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合宿3日目9-不自然なボレーヤー ページ5

これから来るだろう衝撃に備えるべくきゅっと目を瞑る。しかし、何かに包まれたかと思うと、想像していたものよりもずっと柔らかい衝撃に吃驚して、思わず『…え、』と目を開ける。何とか状況を理解しようと脳みそを回転させ始める、が。

「っ陰野、大丈夫か」

『!!っだ、大丈夫ですっ』

いきなり耳元に心地良い低音が吹き込まれ、背筋がぞくり、と震えた。その所為で、返答も妙なものになってしまう。仁王くんとの時とは比べ物にならない。そもそも仁王くんはただ転けただけだったから特に何とも思わなかったし、何よりあの時は普通に背中を強打していた。そんな状況でときめけという方が無理な話なのだ。それに比べ、柳くんは咄嗟に私の背中と地面との間に腕を差し入れ、私への衝撃を弱めてくれたのだ。プラス耳元でダイレクトに響く荒い呼吸音とさっきの声。はっきり言って、今の状況はとても心臓に悪い。うん。思わず視線を上げると至近距離でがっつり目が合い、吃驚したやら恥ずかしいやらで耐えきれなくなった私は、物凄いスピードで柳くんの下から這い出てしまった。ああああ女子力の無さ。

「あ、」

『っ!!』

まるでゴキ○○[規制]のような動きに驚いたのか、柳くんが立ち上がりつつ、声を発しながら此方を見た。未だ恥ずかしさで一杯な私は、弾かれたように一番近くで立っていた丸井くんの後ろに回り込んで彼のジャージの裾を掴んだ。丸井くんはうっすら顔を赤くして「っな、何すんだよぃ」と言っていたが、私は己の保身に必死だったのでスルーした。

「陰野、」

『?、手塚くん』

すると、今まで我関せずだった手塚くんが此方に歩いてきて「そろそろ戻らないか」と手を差し伸べてきた。何故このタイミングで、何故手を差し伸べたの、ていうかまだ真田くんと幸村くんが小さいままだよ、などなど言いたい事は沢山あったが、取り敢えず柳くんから離れられるならと(別に嫌いになった訳ではない)、丸井くんのジャージの裾を掴んでいた手をその手に持って行こうとすると、ぐい、という強い力で肩を掴まれ、勢いのまま丸井くんの胸にダイブしてしまった。

『!?…丸井くん?』

「?…っあ、すまねえ」

吃驚して丸井くんの顔を窺うと、自分でした事が無意識の内だったようで、若干戸惑い気味に離された。何なんだろうか。手塚くんは私に手を差し伸べた格好のまま固まっている。首を傾げつつも、手塚くんが言うならと、私は立海の練習コートを後にした。

不二くんは相変わらず笑っていた。

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リー - 続きお願いいたします。 (2017年7月21日 0時) (レス) id: d528214b0c (このIDを非表示/違反報告)
ぽよ*(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます!!!これからも面白いと言っていただける小説を目指して更新頑張ります♪( ´▽ ` ) (2015年10月31日 23時) (レス) id: b876b60e24 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - とっても良いですね!面白いです(o^^o) 更新、楽しみにまってますね^ ^ (2015年10月31日 23時) (レス) id: c1b9c7629a (このIDを非表示/違反報告)
ぽよ*(プロフ) - コメントありがとうございます!!!面白いと言っていただけて、とても嬉しいですo(^▽^)o更新頑張ります!! (2015年10月31日 22時) (レス) id: b876b60e24 (このIDを非表示/違反報告)
にろか。 - 初コメ失礼します!!┏oペコすっごく面白いですね!(*´罒`*)いい作品になるよう(((←いやもうなってんだろこれからも期待してます!更新楽しみに待ってますっ(*´-`) (2015年10月31日 21時) (レス) id: 8b4603215a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽよ* | 作成日時:2015年6月1日 1時

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