【テニプリ】副会長ですが何か。2

合宿3日目5-振り回される男子中学生 ページ1

暫くすると(この間約2名が幸村による制裁を受けたりなどしたが)Aが幼児化した衝撃も薄れ、各自朝食の時間に入っていた。因みにAはふらふらしていたのを不二に捕まえられて青学のテーブルに着いている。ちょうど手塚と不二の間に座り、誰が運んで来たのか、りんごを頬張っている(今日はバイキングである)。

『んー、おいしー!!』

「それは良かった。ね、手塚」

頬に手を当ててそう言ったAに返事をしたかと思うとその向こうの手塚にも瞬時に問い掛ける不二。いきなり話し掛けられた手塚は吃驚して「っあ、あぁ」と返事をした。菊丸が「不二はお節介だにゃあ」と言いかけて大石に口を押さえられていた(余計な事を言うなという事らしい)。

# # #

30分後には大方が食事を終え、ぐだぐだと話に華を咲かせている。Aも食べ終わり、最後にジュースを飲もうと椅子からカタンと降りた。そして、ふと一瞬顔を歪めたところを不二に「どうしたの?」と目敏く聞かれる。

『…あのね、なんかふらふらするの』

「!…大丈夫かい?」

それにゆっくりと頷いたかと思うと、Aは身体をぐらりと傾かせ、そのまま食堂の床に敷かれた青く毛の長いカーペットに倒れ込んだ。一瞬にして、食堂内に緊張が走り抜ける。Aの一番近くに立っていた手塚は、弾かれたようにAの名前を呼んだ。

「っ陰野、しっかりしろ!!」

普段冷静な手塚のこんな姿を見れるとは、と不二はAを心配しながらも思っていた(不謹慎である)。

「慌てるな、手塚」

「柳…!」

だがそこへいつものように涼しげな目元の柳が現れ、混乱する手塚に再度声を掛けた。

「陰野はじきに目を覚ますだろう」

「…!?」

「どうい「どういう事か説明して貰おうか、柳」…幸村」

言葉も出ない様子の手塚に変わって不二が聞いたのを遮って幸村が柳に問い掛けた事で食堂の空気はまた別の意味で凍り付いた。やべえよ誰か何とかしろよ。いやお前がやれよ。そんな視線が彼方此方で彷徨う。

「…恐らく、陰野は眠っただけだ。数十分もすれば元の陰野に戻るだろう」

だがそこは常勝立海の参謀、この部屋の雰囲気に怯む事なく、淡々と理由を述べる柳であった。部屋の雰囲気なんぞは関係ないらしい。

「じゃあ、Aちゃんは寝ている間に戻るって事で良いのかな?」

「あぁ。だから今のうちに陰野を部屋に運んでおく必要があるな」

その言葉を聞いて多くの男子中学生の頭を過る言葉があった。

(((誰が陰野を運ぶんだ!!?)))

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