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手をつなぐことはないけれど、いつも私と歩幅を合わせて同じスピードで歩いてくれていた。例えば私が疲れてたり、慣れないヒールで歩くのが遅くなったとしても、いつもそれに合わせて。
けれどそんな勇太くんが今日は、どちらかへ誘導するかのように少しだけ私の先を行く。
気が付けば駅は逆方向だ。
「勇太くん、駅、反対だよ」
うん、と振り返ることもなく返事をして、なおもそのまま少し先を行く。
どんどん駅から離れていく中で、彼が立ち止まった先は駐車場、白のセダンの前だった。
よく分からないままその場に立ち尽くす私に、助手席のドアを開けて「どうぞ」と誘う。
勇太くんが車を運転するなんて聞いたことがない。
四年間ずっと互いの近況を共有し合っていた中で、自動車学校に通っていたことすら話に上がったことがない。
私に用意されたその席で、彼が清算を終えて戻ってくるのをそわそわしながら待った。
「免許持ってたの！？」
運転席のドアが開くなり勢いよくぶつけた質問に、勇太くんが笑う。
「とったのは一年半くらい前なんだけどね」
「え、え、なんで教えてくれなかったの！？」
「初心者マークとれるまで乗せたくなかったし」
そう言って少しだけ照れくさそうにまた笑った。
その優しさに感動しながら同時に、きっとそれだけではないということも伝わる。何かしかるべき時に、私のことを驚かせようと思っていたんじゃないだろうか。
昨晩のネックレスのことだってそうだけれど、勇太くんは先の決められた関係の中で、少しでも驚きや楽しみを私が感じられるようにとこうやって工夫してくれるのだ。
でもAちゃんを乗せるのにはまだ不安なんだけど、と言いながらエンジンをかける。
勇太くんの横顔をこうして助手席から見るのは何とも新鮮だ。
ギアを操作して車体が動き出せば、彼の言うような心配なんて全く必要ないのではと思うほどの安全運転だった。
勇太くん自身も全く慣れた余裕の様子で、私一人が初めての助手席に浮き足立っているうちに、いつの間にか車はショッピングモールのすぐ近くまで来ていた。
「でも本当にびっくりしちゃった。サプライズだね」
「はは」
「これすごいいい車でしょ。かっこいい。何となく知ってるよ」
「兄貴の使ってたお古をもらっただけだから俺は全然かっこよくないんだけどね」
「ううん、勇太くんはかっこいいよ。勇太くんってすごくて、完璧で、少女漫画から出てきたみたい」
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
