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「いや！まーじでコンビニが遠い！」
入り口に立っていたのは息を切らした岸さんだった。
他に用事があって、今夜はもうさっきのでお別れなんだと思っていた。
私が思うよりもずっと早くに戻ってきた彼の行きたかった先とは、コンビニだったらしい。
「あ！もう乾杯してる！」
「そりゃそうでしょ。岸くん何飲む？」
「運動したからビール！」
いやしかし、コンビニって竹本のおばさんのところだろうか。
この島にコンビニと呼べるような遅くまでやっている商店はそこくらいしかない。ここからだと自転車でも往復45分くらいはかかるのに、岸さんがさっき店を出てからまだ30分も経っていなかった。
よほど急いで自転車を走らせたのだろう。夜だというのに額に汗を滲ませている。
「しかも閉まりかけでさー、コンビニって閉まんの！？っていう！ギリ開けてもらった」
「へぇ、お疲れ。で、何しに行ったの？」
「あぁ、そう！はい、これ！」
岸さんがビニール袋から取り出してカウンター上に置いたものは、プラスチックのパックに入った2ピースのショートケーキだった。
「誕生日にイチゴのケーキがないとかナイでしょ！」
驚いてしまった。
このケーキを買うために、そんなにも急いで、息を切らして行ってきてくれたんだろうか。
私が誕生日だと言ったから？
慣れない土地の夜道を、昨日会ったばかりの私のために？
「うそ、なんでこんな、…いいの？」
「え、だって誕生日だよ！俺誕生日はイチゴのショートケーキ食べないと落ち着かないもん」
落ち着かないってなんだろう。おかしいな。
ふと、目に入った壁時計が23時45分を指していた。
あぁそうか。
もしかしたら、今日の日付が変わる前にと急いでくれたのかもしれない。
「嬉しい、すっごく。ありがとう…。私も誕生日には絶対イチゴのケーキだって思ってるから」
本当に嬉しかった。
返してくれる笑顔に、なんて素敵な人だろうと思う。
付属のロウソクに岸さんがライターで火をつける。
「歌ってくれるの？」
「はは、まかせろ」
半分冗談で言ったのに、笑いながらリクエストに応えてくれる。
岸さん以上に玄樹くんが笑っていた。つられて私も笑ってしまう。
所々ふざけながらではあったけれど、岸さんの歌声に彼は案外高くて甘い声をしているのだなぁと知った。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
