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カードが添えられていた先は、淡いブルーの小箱。
白いリボンを解いて、きっと女の子なら皆一度は憧れるのであろうその色の箱を開ければ、シルバーネックレスのダイヤが輝いていた。
「わぁ…」
綺麗だ。
綺麗で、可愛くって、嬉しくって思わず声が漏れる。
こんなに素敵なものを私がもらってしまってもいいんだろうか。
けれど、勇太くんらしいなと思った。
昨晩日付が変わる瞬間にもメッセージをくれたのに、もう明日になる土曜日だって会う約束をしているのに、誕生日当日にこんなにも嬉しいサプライズを用意してくれているだなんて。
完璧だと思う。
勇太くんは紳士で、誠実で、優しくてかっこいい。
あまりにも完璧な、私の許嫁だ。
うちの神社は代々女性の宮司を認めていない。
だから私がこの家を継ぐと言っても、それは婿をとるというかたちになる。
けれど、跡継ぎだなんて普通はそうすんなり決まるものではない。神職の後継者不足は日本中どこの神社でも深刻な問題だ。
勇太くんは島の外に住む父の知り合いのご子息で、私が14になる年にお見合い、のようなものを通して出会った。
聞けば神職に馴染みのある家系ではないというのに、どういうわけか宮司なんて厄介な仕事を引き受けてくれるというのだ。
今は東京の大学の神道学科に通いながら、神職階位の取得のために勉強してくれている。
つくづく、私にはもったいない相手だと思う。
家同士が決めた結婚。
婿に入る先はとんでもなく田舎の古い神社で、相手は4つも下の子ども。
勇太くんにも少なからず思うところはあっただろう。
けれどこの結婚に対して、勇太くんが私の前で迷いや躊躇いを見せたことなんて一度だってなかった。
むしろ彼はこうしていつも、それが家のための結婚だということを感じさせないように努めてくれていた。まるで、私たちの付き合いが、自然な恋愛を経て成り立つ男女のものであるかのように。
そこに打算めいたものを少しも感じない。
勇太くんは、本当に心根が綺麗な、優しさに満ち溢れた人だった。
ネックレスを箱ごと胸に抱いて、ベッドに寝転ぶ。
温かい家族に、良くしてくれる許嫁。
そのおかげで素敵な誕生日になった。
不満なんて、本当にひとつもない。あるはずがない。
恵まれた環境に感謝しなければならない。
けれど、私にとっての18歳という節目は、どうしたってやっぱり特別だった。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
