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「…ねぇ優太くん、こんなでいいんだっけ」
あまりにも自分が気負うことを忘れていたものだから、思い出したように心配になって彼にそう尋ねた。
「うん、綺麗だよ」
それに対して優太くんの返す言葉の、当然のような物言い。
なんか…、なんというか。
どうしてこの人って、たまにこうなんだろう。
途端に照れくさくなって、居たたまれなくなって。
その場から走り出した。
「え、ちょっ、」
優太くんがすぐに後ろから追いかけてくる。
「A！さすがに、その速度で走られると！撮れない！」
背を向けた方から優太くんの叫ぶ声がする。
別に走ってるところを撮ってもらおうと思ってこうしたわけじゃない。
だってなんだか、たまらないんだもの。
1分間弱の追いかけっこの末、持久力のない私が疲れてきた頃彼が私の右腕を掴んだ。
「はぁ、はぁ…、意外に、はえーな…」
「ん、島育ちだから…」
優太くんが手を放して、私は背中からその場に倒れ込む。
淡い水色のワンピースが汚れるのなんて気にもせずに砂浜の上に寝そべって、昇ったばかりの朝の光が眩しいから笑いが込み上げてくる。
傍らに立ったままの優太くんは私を見下ろしてカメラを構えた。
「優太くん、恥ずかしい」
腕で隠すように目を覆ったけれど、それでもシャッターは切られ続ける。
次にその腕を外して見たとき、優太くんは砂の上に膝立ちになって覆い被さるように、さっきよりもずっと近い距離で私を見ていた。
レンズ越しに向けられる熱い視線。
その熱に曝されて、私も身体の芯が熱くなる。
ふわふわとした浮遊感で頭がぼうっとして。
どういうわけか、気持ちいい、と思った。
「優太くんってば、」
私の呼びかけなんて無視して、絶えず浴びせられるシャッター音が自分でもよく分からないその気持ちよさを増幅させた。
直接見ることのできない彼の眼差しに、吸い込まれるような、奪われるような。
自分をまるごと捧げるような、そんな気持ちよさだった。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
