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「そうかもしれないけど、」
「……」
「でも私、誰かを恋しく思うのなんて生まれて初めての気持ちだったから。それに気づけたこと、本当によかったって思ってます」
「…そう」
「はい」
「……もう触らない」
惜しくなる、と小さく言い足して。
腕を掴んでいた手さえも放して、ジーンズのポケットに両手を押し込む。
私の周りの人たちは彼を、クールで理性的で掴みどころのない難しい人だと言った。
本当の彼はそんなことはなくって、戸惑いながら、揺れながらだけど確かに、感情を、真っ直ぐでどうしようもないくらいに純粋なそれを伝えてくれていた。優しくて温かくて、可愛い人。
それを知れたことが、密かに嬉しくあった。
「俺も初めてだったよ」
「はい、おんなじですね」
「だから、俺もよかったって思ってる」
「…うん、」
「Aに会えてよかった。好きになれて、よかった」
触らないって、さっきそう言ったばかりなのに。
もう一度腕を掴んで引き寄せて、
「幸せになって」
耳元でそう言った。
これ以上ないくらいに優しい声だった。
だけど今度は本当に10秒もせずに離れる。
視線を合わせて。
恋ではなかったけれど、情を通い合わせて。
北斗さんが微笑んで、私も笑い返す。
背中を向けて、二人反対方向に歩いて行く。
私はどこまでも勝手で、最後までこの人に甘えることしかしなかった。
だけど北斗さんと会えたから、紫耀さんに対して感じるおかしな気持ちも、その正体に気づけた。
“幸せになって”ってその言葉の意味とか、彼が向けてくれた気持ちとか、それが純粋に混じり気なくあった理由とか、今ならようやく本当に理解ができる。
涙を流すのは違うと思った。
だけど溢れ出しそうな何かを抑えきれなかった。
抑えきれなくって、どうしようもなくて、気付けばヒールのまま走り出していた。
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#Love(プロフ) - とっても素敵なお話でした。1日かけて全部読んじゃいました。続き見てみたくてフォローリクエストさせて頂きましたー。 (2020年4月19日 17時) (
レス) id: 6a06178345 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - これのほくてぃー最高すぎ、無理、好き。できればほくてぃーおちこの作品でもちがくてもいいので見たいなあ、なんて( ；；) (2019年4月24日 21時) (レス) id: 500512ebdb (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 続きが気になって一気読みしてしまいました！号泣しながらなんて文才！ってなりました。また違う作品も期待してます☆ (2019年4月21日 2時) (レス) id: 60f0de0514 (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - 初めまして。最後まで読ませて頂きました！この作品の北斗が最高に好みで、悶えるほどキュンキュンさせていただきました笑次はぜひこのままの性格でリアル設定の北斗が主人公の作品も見てみたいです！よろしくお願いします。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: b39ecec93d (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ららちゃんさん» 最後までお読み下さりありがとうございます！自分でも何とも言い難い話だなあと思うのですが、大好きと言って頂けると本当にとっても嬉しいです！こちらこそ出会って下さりありがとうございました。今連載中のものもあるので、よろしければそちらでもお付き合い下さい〜 (2018年8月30日 23時) (レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年11月3日 23時
