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そんなのは全くの冗談だったけれど、俺の目標は平野紫耀よりも魅力的な何かになることだった。
まぁ平野紫耀はおっさんになってもイケてるんだろうなと思うけれど。
でも、とにかく俺はそれ以上になるのだ。
そのために、自分の得意な理数科目を活かして行ける限りランクの高い大学に進むと決めた。何になるかは、それからゆっくり考えることにする。
ゆっくり考えても、それでいいんじゃないかって思えた。
例えそうしたって、父も母も変わらずに俺を愛してくれるって、今ならそれが分かるから。
湖の上を通った風が頬に触れて、彼女の薄手のニットが手の甲までかかっていることに気づく。
そろそろ帰らなきゃだな、と思う。
Aさんを見た。
何度目であっても、見つめるだけで吸い込まれそうに綺麗な瞳に、また心を掴まれてしまう。
息を吸う。
穏やかに吐き出した。
「好きでした、本当に」
でした、っていうか、今も好きなんですけど。
もう全然好きだ。今でも。余裕で大好きだ。
何度も自分勝手にぶつけてきた想いも、口にするのはこれが最後かもしれないとそう思うと涙が出そうになって、けれどそれは意地でも引っ込めた。
Aさんの表情が、一瞬だけ止まる。
そうしてゆっくりと微笑む。
柔らかく、優しく、全てを許してくれるようなあの笑顔で。
彼女の笑顔も、瞳も、声も髪も、俺にかけてくれた言葉も、何度となく優しくしてくれた日のことも。
全部が全部、特別過ぎた。
「私、永瀬くんがまっすぐに向けてくれた気持ちは、本当に嬉しかった」
「…うん」
「永瀬くんから教えられたこともあるの。…だから、ありがとう」
「うん、」
「好きになってくれて、ありがとう」
ありがとう、なんてずるいよな。
少しだけ切なげに見える表情も、最後の最後に手を握る温度の温かさも、本当にずるい。
好きだなぁ。
好きだったなぁ。
上手な恋の終わらせ方が分からない。
だから、俺の恋は少しもきれいにいかなかったけれど、いつもかっこ悪かったけれど、
それでもこの人のことを好きでいた時間のことは、きっと一生かけたって忘れられることなんてなくって、ずっとずっと大事なままなんだろうなって。
どうしたって込み上げてきそうになる涙をこらえて笑う。
彼女の手を握り返してもう一度、あぁ、好きだったなってそう思うのだ。
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#Love(プロフ) - とっても素敵なお話でした。1日かけて全部読んじゃいました。続き見てみたくてフォローリクエストさせて頂きましたー。 (2020年4月19日 17時) (
レス) id: 6a06178345 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - これのほくてぃー最高すぎ、無理、好き。できればほくてぃーおちこの作品でもちがくてもいいので見たいなあ、なんて( ；；) (2019年4月24日 21時) (レス) id: 500512ebdb (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 続きが気になって一気読みしてしまいました！号泣しながらなんて文才！ってなりました。また違う作品も期待してます☆ (2019年4月21日 2時) (レス) id: 60f0de0514 (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - 初めまして。最後まで読ませて頂きました！この作品の北斗が最高に好みで、悶えるほどキュンキュンさせていただきました笑次はぜひこのままの性格でリアル設定の北斗が主人公の作品も見てみたいです！よろしくお願いします。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: b39ecec93d (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ららちゃんさん» 最後までお読み下さりありがとうございます！自分でも何とも言い難い話だなあと思うのですが、大好きと言って頂けると本当にとっても嬉しいです！こちらこそ出会って下さりありがとうございました。今連載中のものもあるので、よろしければそちらでもお付き合い下さい〜 (2018年8月30日 23時) (レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年11月3日 23時
