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それから数週間が経ってもAちゃんの心は晴れないままのようだった。
女子の友達といる時でもどこか上の空だったりするし、優等生の彼女にしては珍しく授業で指されても答えられなかったりする。ふとした瞬間の視線が物憂げで、それはそれで見蕩れてしまいそうになるんだけどそんなこと言っている場合でもない。
｢暴走して…、自らダメージくらった…｣
自分自身の行いを後悔していた。
深い深い溜息。
｢受け入れられるはずないって分かってたのに、｣
今回もまた詳細を聞くわけではないけれど心底落ち込んでいることは分かる。好きだと伝えてからの間ずっと続いているのであろう微妙な関係にきっと疲弊している。
心配だった。
非常階段の踊り場、壁に背を預けて遠くを見つめる横顔に胸がきゅっとなる。
「やきもちやかせられないかな」
何か、どうにかと考えて。
「俺のこと使って」
思わずそんなことを口走っていた。
「…どういうこと？」
「戸惑ってるだけかもしれない。今はまだ娘としてしか見れないからだよ。だから、何か、危機が迫ればAちゃんのことそれまでと違って見えるかも」
Aちゃんはその俺の提案にいやいや、と笑って、けれどそれから少し考えているようだった。「どう？」と問いかけると困ったような顔を見せる。
「でもそんな、悪いよ」
「なんで？」
「もし…、万が一ね、その人が優斗くんのことで妬いてくれたとして、でもそれって優斗くんを利用するってことでしょ？私最低じゃん」
別にそんなこと気にする必要はないのに。
だって、こういう相談をしてくれるのは彼女にとって俺が全く眼中にない存在だからだって分かってるし。
「ていうか告白してくれた優斗くんにこんな話聞いてもらってること自体最低だよね。めちゃくちゃ今更だけど…、」
けれど、女子の友達にも話していないようなことをこうして俺だけに打ち明けてくれるのは、少なからず信頼してくれているからだとも思うのだ。
それはまぁ、ほんの数ヶ月前まで口をきく機会すらろくに得られなかった俺としてはとんでもない進歩であった。
「あのさ、夜一緒に飯食おうよ！できるだけ毎日！」
彼女の遠慮を押し切って、強引にその約束を取り付けた。
気にする必要なんてない。だって、こんな提案をしたのは純粋に彼女のことを心配しているのが半分、もう半分は彼女ともっと一緒にいたいという俺自身の打算からでもあったのだから。
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小袖(プロフ) - 良すぎてぶるキュンしました😭どの作品もとても読みやすくて、心情や情景の書き方もとても上手でほんとに素敵です！続きが気になります！ (2022年6月29日 17時) (
レス) id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 更新嬉しいです！新しい岸くんと娘ちゃんの形、ドキドキします！これからも楽しみにしてます。 (2020年11月24日 0時) (レス) id: 13ab7dce5a (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 更新楽しみにしてました！岸くんの変化にキュンキュンです！何度も何度も読み返したくなる素敵な作品。2人がラブラブになるの楽しみにしてます！ (2020年11月18日 20時) (レス) id: 5ef92e91e3 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！はぁ…すごく嬉しいです。幸せな岸君と娘ちゃんに、嬉しくて、なんだかくすぐったいような…。幸せのお裾分けをいただいています。2人が恋人になる日が待ち遠しいです。 (2020年11月18日 18時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - ついに！ついに岸くんが！！！わぁー、やっとですか！でもそんなに我慢できる！？はやく求めてほしいな…続きも楽しみにしています♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年11月11日 19時
