恋人 篇 ー29歳と18歳ー ページ41
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「迎え行こうか」
「いややめてパニックになる」
「酒飲むなよ」
「飲まないってば」
夜にサークルの集まりを予定している日の出がけに行われる恒例のやり取り。
比較対象がないから分からないけれど、彼を保護者として見た時、元から過保護ぎみではあったんだと思う。同級生に話を聞いても大学生のそういう付き合いは仕方ないものとして看過されている家庭の方が多いようだった。うちのように成人するまで絶対にお酒を飲んではいけないと厳しく言われている子には会ったことがない。もしかしたらそれは優太くん自身が未成年の頃に気を付けていたことだからなのかもしれない。私はジャニーズjrではないので未成年飲酒しても週刊誌に取り上げられることはないのだけれど。多少の居た堪れなさや断る時の煩わしさはあれど優太くんに嫌な思いをさせてまで飲みたいわけでもないので普通に従っている。
「あの、�盒兇箸�いう……同じサークル入ったって」
「友達だからね」
けれど、ここ最近になって顔を出してきたそれは保護者としての庇護欲とはまた別のものだと思っている。私の勘違いなどではなく。
「彼氏いるって言って回れよ」
「聞かれてもないのに言って回るのは変でしょ。やばい女だと思われる」
「思われろよ」
優太くんに隠していた気持ちを打ち明けて、紆余曲折を経つつもどうにかこうにかわりと強引にそれを受け入れてもらって、好き同士ということでいられている今。彼の私に対する束縛の類はだいぶ分かりやすい。それはこういう日の玄関先での応酬がいつもより長くなることからもそうだし、その時の優太くんの決まりの悪そうな表情からも見て取れた。
「なんで？」
「……」
「なんでですか？」
「…もーいーよ。行ってらっしゃい」
「他の男の子に取られたくないから？」
「……」
「あなた今私に焼きもちを妬いてらっしゃる？」
「……」
「自分の女が、娘ではなく、優太くんの女が、お酒の勢いでよく分からん大学生の男に手を出されないか心配で気が気でないのでそれならばいっそ変な女だと思われろとそう言ってらっしゃる？」
「……」
「……」
「……はいそうですよ！」
「しょうがないなぁ！優太くんはまったく！」
ぎゅっと抱き着いて私は目一杯の優越感を味わう。このところの私はそうした彼の可愛いところをちゃんと言葉にして明らかにすることに余念がない。ぐりぐりと肩に顔を埋めると「早く行けよ」と優太くんは精一杯素っ気なく振舞っていた。
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小袖(プロフ) - 良すぎてぶるキュンしました😭どの作品もとても読みやすくて、心情や情景の書き方もとても上手でほんとに素敵です！続きが気になります！ (2022年6月29日 17時) (
レス) id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 更新嬉しいです！新しい岸くんと娘ちゃんの形、ドキドキします！これからも楽しみにしてます。 (2020年11月24日 0時) (レス) id: 13ab7dce5a (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 更新楽しみにしてました！岸くんの変化にキュンキュンです！何度も何度も読み返したくなる素敵な作品。2人がラブラブになるの楽しみにしてます！ (2020年11月18日 20時) (レス) id: 5ef92e91e3 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！はぁ…すごく嬉しいです。幸せな岸君と娘ちゃんに、嬉しくて、なんだかくすぐったいような…。幸せのお裾分けをいただいています。2人が恋人になる日が待ち遠しいです。 (2020年11月18日 18時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - ついに！ついに岸くんが！！！わぁー、やっとですか！でもそんなに我慢できる！？はやく求めてほしいな…続きも楽しみにしています♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年11月11日 19時
