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店内を見渡してすぐに目に入った、高校生二人組の席へと真っ直ぐ歩いて行く。突然自分たちの側にやってきた深めの帽子とマスク姿の男に男子高校生は驚き、それから不審そうな目を向けた。なるほど、これが”優斗くん”か。
「ちょっと…！」
わざわざ迎えにくるとは思っていなかったAも驚いたようで、机に手をつき咄嗟に立ち上がる。そっちは無視をして彼の方を向き自らの顔を覆うものを全て取った。
「どうも、Aと仲良くしてくれてありがとう」
きょとんとした表情で俺を見上げていたその目が次第に見開かれていく。
「え、ああ、あ、あぁ……！？えぇ！？！？」
立ち上がり、声を上げたその反応から俺の存在を認識してくれているんだとは分かる。
「あの、え！？キン、キンプ、リ…の、あの！？待って、…は！？！？」
驚きと混乱を惜しみなく露わにしたリアクション。口をぱくぱくさせて、俺とAとを何度も交互に見る。Aの方は「信じられない」といった顔をしていた。Aの周りの子に俺のことを知らせるのはこれが初めてだった。
「Aと付き合ってるの？」
単刀直入にそう尋ねる。そのために来た。
「あ、いや…いえ、その、」
口籠る。
困った様子の反応に、とりあえず現時点で彼氏ということではないのか、と知る。
そうか。
だとすれば次に何を言うべきかと考える俺を、卓の外へ出たAが無言で引っ張ろうとする。「おい」と嗜めるけれど結構な力で無理やり店の外の方へと連れられていった。
とりあえず、まぁ、彼氏でないということは分かったしと、そう思い大人しく引っ張られるままでいた。
けれどそうしてそれから会計を済ませようとレジに向かう途中、近づく足音に振り向くと、一人席に残されていたはずの男子高校生が俺たち二人の後を追ってそこにいた。
「…まだです！！！」
店中に響くような大きな声で、背筋を伸ばして、一言。緊張しているのか、きゅっと引き結んだ唇の両端が僅かに震えていた。
今さっき俺が向けた質問に対する答え、なんだろうか。
「まだ」と、わざわざそれを強調する意味とは。
「まだってどういう、」
歩み寄ろうとしたところで、「ちょっともう！」と怒りの声を上げるAに再び強く引っ張られる。
俺が振り解こうとするのも敵わない力でずんずんと出口に向かって行き、レジに粗雑に金を置くとAは釣り銭も受け取らずに店を出た。
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小袖(プロフ) - 良すぎてぶるキュンしました😭どの作品もとても読みやすくて、心情や情景の書き方もとても上手でほんとに素敵です！続きが気になります！ (2022年6月29日 17時) (
レス) id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 更新嬉しいです！新しい岸くんと娘ちゃんの形、ドキドキします！これからも楽しみにしてます。 (2020年11月24日 0時) (レス) id: 13ab7dce5a (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 更新楽しみにしてました！岸くんの変化にキュンキュンです！何度も何度も読み返したくなる素敵な作品。2人がラブラブになるの楽しみにしてます！ (2020年11月18日 20時) (レス) id: 5ef92e91e3 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！はぁ…すごく嬉しいです。幸せな岸君と娘ちゃんに、嬉しくて、なんだかくすぐったいような…。幸せのお裾分けをいただいています。2人が恋人になる日が待ち遠しいです。 (2020年11月18日 18時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - ついに！ついに岸くんが！！！わぁー、やっとですか！でもそんなに我慢できる！？はやく求めてほしいな…続きも楽しみにしています♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年11月11日 19時
