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「そう〜、最初は娘にしか見えないって躱され続けてたんですけどね」
「だよね！？俺、芝居だって分かってても十代の子に触るの犯罪みあったよ…？」
｢あはは。でもめげずに迫ってたらいけました｣
いっそ気持ちいいくらいの軽さで言い放つ彼女に今、清純派の面影はない。
女優さんってすごい。本当に。
衝撃で呆気にとられていると、｢岸さんって義理の娘さん？がいるんでしたよね？｣と今度は会話のボールがこっちに移る。まだ動揺が尾を引いていて、吃りながらそうだと答えた。
「娘さんみたいに見えました？」
それは、全く予想しなかった類の質問で。
「今日、ああいう場面で私のこと」
盛大に噎せてしまった。
それはもう車内の全員に心配されるくらいに。
水をもらって、なんとか呼吸を整えて、それから｢いやいやいや、｣ともしかしたら必要以上かもしれないほどの否定をした。
「いやあの…、娘には、見えなかったよ…」
「でしょ？結構ね、歳の差なんてそんなもんなんですよ｣
彼女の淡白なその返答で、さっきの質問が特別おかしな意味をもったものではなかったのだと分かる。単に俺が「親子ぐらいの歳の差」と言ったことに対する反論のためのものだったんだろう。
けれど。
娘みたいに見えたか。
その問いかけに俺の胸の内はざわめいていた。
自分でもちょっと異常に思うくらいに。
彼女は女の人だった。
体も表情も眼差しも子どもではなく、女の人のものだった。
現実の撮影において彼女の姿の中にAを見るなんてことはなかった。あるわけない。
今朝見た夢だってそうではなかった。
そういう対象の相手がAに見えたわけじゃない。
そうじゃなくてあれは。
そういう対象の相手が、いつの間にかAに代わっていた。
性愛の愛おしさから連想される相手として、Aのことを思い浮かべてしまった。
じゃあ、でもそれって。
なんだろう。
そっちのほうがずっと、何倍も、おかしなことなんじゃないだろうか。
考えれば考えるほど訳が分からなくて、異常で、最悪で。
突然頭を抱えて唸り出した俺の隣で、年下の清純派女優は終始楽しげに笑っていた。
＊＊＊
お話を読んでいただくうえでそこまで重要ということでもないのですが「ドラマ篇」題材元ネタはこちらから
真夜中のボニー&クライド
※II以降フラグ作品になるためご注意ください。
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小袖(プロフ) - 良すぎてぶるキュンしました😭どの作品もとても読みやすくて、心情や情景の書き方もとても上手でほんとに素敵です！続きが気になります！ (2022年6月29日 17時) (
レス) id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 更新嬉しいです！新しい岸くんと娘ちゃんの形、ドキドキします！これからも楽しみにしてます。 (2020年11月24日 0時) (レス) id: 13ab7dce5a (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 更新楽しみにしてました！岸くんの変化にキュンキュンです！何度も何度も読み返したくなる素敵な作品。2人がラブラブになるの楽しみにしてます！ (2020年11月18日 20時) (レス) id: 5ef92e91e3 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！はぁ…すごく嬉しいです。幸せな岸君と娘ちゃんに、嬉しくて、なんだかくすぐったいような…。幸せのお裾分けをいただいています。2人が恋人になる日が待ち遠しいです。 (2020年11月18日 18時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - ついに！ついに岸くんが！！！わぁー、やっとですか！でもそんなに我慢できる！？はやく求めてほしいな…続きも楽しみにしています♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年11月11日 19時
