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どういう言葉なら届いただろう。
もうずっと、そればかりを考えている。
*
三つ歳が上の姉がいた。
優しくて、穏やかで、姉弟喧嘩の一つもした記憶がない。姉は小さい頃からバイオリンを弾いていた。バイオリンが本当に好きで、放課後は友達と遊ぶよりもその練習に時間を費やして。
そんな姉を見て育ったから時々俺も一緒になって家にあったピアノを弾いたりもしたけれど、それはまぁ全然、ただのお遊び程度のものだった。
姉は中学2年生の時、新聞社主催の全国区の音楽コンクール、バイオリン部門で1位をとった。
中学校の全校集会でも表彰され、通っていた音楽教室の先生や他の生徒たちからも称賛され、家族でお祝いもした。
それから間もなく、姉が地元のタウン誌で紹介されることになった。取材だなんて初めてのことで、すごく緊張しながら出かけたのを覚えている。
約一か月後、編集部から送られてきた誌面にはバイオリンを持って微笑む姉の写真の上に「天才美少女バイオリニスト」と大きく書かれていた。インタビューにも長々と答えたようだったけれど、その内容よりも撮影された写真の扱いがメインの誌面構成になっていた。
「何だかモデルさんみたいだね」と母が言って、「恥ずかしいな」と姉は笑っていた。
数か月後、芸能事務所の人が姉を訪ねてきた。東京からわざわざやってきたその人は俺でも聞いたことあるくらいの大手事務所の社員だった。どこからか姉の存在を知ったその人が持ってきたのは、「音楽家兼タレントとして事務所に所属してほしい」と、そういう話だった。
俺たち家族はただびっくりして、けれど姉は特に目立つことが好きな性格でもなかったからその場でその話を断る。それでもその人はその後も何度も何度もやってきて、根気よく両親と姉を説得し続けた。「ソロリサイタルを開いたりCDを出したり、あなたの音楽をもっとたくさんの人に聴かせるためのサポートができる。もちろんバイオリンの練習と学業を第一優先に考えてくれていいから」とそう言われて。また、姉には当時志望していた音楽科の有名な東京の高校があったのだけれど、「合格した際にはそこへ通う生活費の支援もする」とそう言われて。
姉も、それならばと首を縦に振った。将来音楽を仕事にしたいと思った時に、マイナスになることはきっとないんじゃないかと。そう思って、契約書にサインした。
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よぴ(プロフ) - パスワード教えていただきたいです（ ; ; ） (2022年1月17日 19時) (
レス) id: 5c59f9ee59 (このIDを非表示/違反報告)
いち - パスワード教えてください⁉️ (2021年9月28日 13時) (レス) id: 358f9d64ec (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - こむぎさんの作品いつも楽しく読ませていただいています。この作品を最初から読みたいのですがパスワードを教えていただくことはできますか？ (2021年5月5日 2時) (レス) id: 3b72a96203 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - どの作品も大好きです！いつもキュンキュンしながら読ませて頂いています。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - 切なくて切なくて、涙が出てきました。このお話大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 19時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年7月21日 14時
