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その一言に、肋骨の内側で心臓が跳ねた。
”好きなので”
これまでにも何度か言われていた言葉。
本意ではないはずと撥ねつけてきた言葉だ。
それが今、何だか、切実なものに聞こえてしまった。
自他共に認める彼の”らしくない行動”の原因が、私を好きなためだと。そう言われて、そんなことで、絆されそうになっているんだろうか。自分よりもずっと年下の教え子相手に。
日常生活で意識することのない鼓動がやけに存在を主張して、その高鳴りに、段々と全身を支配されていく感覚。
何だ、これ。
浮所くんに好きだと言われた時のことを思う。
好きだと言われて自分がどう感じたか、改めて思う。
こうではなかった。
こんな風ではなかった。
まずいと思った。何となく、理由は分からないけれど直感的に。
この子は、作間くんは。
これ以上は。
「…いい加減やめて、大人をからかって遊ぶの」
これ以上は、危ないと思って。
口からそう衝いて出た。向けられた眼差しから目を逸らし彼との間に線を引く。
「……本気で遊んでるって思ってるんですか？」
作間くんが声を尖らせて問う。
そこに震えが混じっていた。
けれど、その顔をまともに見ることができない。
「からかってなんかないです」
「……」
「遊んでるわけ、ないです」
僅かに苛立ちを含んで、語気を強めて。
距離を埋め私の正面に蹲み込み、下から見上げる。
引いた線を、越えようと。
「Aさんが好きです。本当です」
じっと、私を見つめる彼に対して違和感を感じていた。
「何と言えば信じてくれますか」
言葉に、目に、いつものような余裕がない。
感じられるのは焦りのようなもの。
縋るような、訴えかけるような何か。
「……信じられるわけないよ」
けれど、それらを慮る余裕は私の方にだってなかった。
これまで通り、そうやって突き放して拒絶する。だってそう返すしかない。
作間くんの言葉が本当かどうかなんて知らない。
本当だったとして知るべきじゃない。知ったところでどうにもできない。
だから、無言のまま立ち上がり部屋を出ていく作間くんの去り際の表情だって、できることなら知らないままでいたかった。
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よぴ(プロフ) - パスワード教えていただきたいです（ ; ; ） (2022年1月17日 19時) (
レス) id: 5c59f9ee59 (このIDを非表示/違反報告)
いち - パスワード教えてください⁉️ (2021年9月28日 13時) (レス) id: 358f9d64ec (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - こむぎさんの作品いつも楽しく読ませていただいています。この作品を最初から読みたいのですがパスワードを教えていただくことはできますか？ (2021年5月5日 2時) (レス) id: 3b72a96203 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - どの作品も大好きです！いつもキュンキュンしながら読ませて頂いています。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - 切なくて切なくて、涙が出てきました。このお話大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 19時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年7月21日 14時
