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「…進級とか成績とかに響かない程度で出てきますよ。浮所、真面目だし」
部屋の中での浮所くんとの会話だとか、こちらからは何も伝えずにいた無言の帰路の中で那須くんが口を開いた。少し前を行く彼の表情は私からは見えないけれど、気遣って言ってくれているのだと思う。多分。
「……那須くんって優しいね」
ここ最近の発見。気疲れからか、何だかポロッと勝手にそう口から出た。「は？」と訝しげな顔をして那須くんがこちらを振り返る。
「私が教師として至らないから嫌われてるだけで…、那須くんは、優しい子だよね」
一連のことで色々と助けてもらって、今もこうして慰めるような言葉をかけてもらって、そんな心根の優しい生徒のことをあまりにも大人気なく敵視していた自分が情けなくて、より辛い気持ちになっていた。浮所くんとのことも辛いし、那須くんに優しくされることも辛い。重たい溜息を吐き出すみたいにして話す私に、前方で立ち止まっていた那須くんはいつものあの面倒そうな表情で顔を歪める。
「あー……いや、嫌いとかじゃないです。苦手なだけで」
そう言うと前に向き直り、再びすたすたと足を進めた。
苦手、とは。
「先生としても授業も別に…、丁寧だし。たまによく分かんないミスとかもあるけど」
「……」
「椎名先生の話し方とか、話す速度、心地いいので頭に入りやすいです」
「…あ、ありがとう」
あの那須くんから、思いがけない褒め言葉を頂いてしまい戸惑う。
だってあの、いつも２年５組の誰よりも厳しい目を私に向ける那須くんだ。私の授業に関して一つでも評価してくれているところがあったなんて。あっさりとした口ぶりには、お世辞でそれを言っているような気配もない。
「あの、苦手って…？」
嫌われているというわけでもなく教師としての技量のなさから見離されているというわけでもないのだとしたら、彼が私にだけ特別当たりが強い理由はなんだろう。
背後から問いかければ再び那須くんがそこに立ち止まる。振り向いて、三叉路の右手、駅へ向かう方角とは反対側を指差し「家、こっちなんで」と言った。私の質問から逃れるようにして立ち去ろうとする。
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よぴ(プロフ) - パスワード教えていただきたいです（ ; ; ） (2022年1月17日 19時) (
レス) id: 5c59f9ee59 (このIDを非表示/違反報告)
いち - パスワード教えてください⁉️ (2021年9月28日 13時) (レス) id: 358f9d64ec (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - こむぎさんの作品いつも楽しく読ませていただいています。この作品を最初から読みたいのですがパスワードを教えていただくことはできますか？ (2021年5月5日 2時) (レス) id: 3b72a96203 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - どの作品も大好きです！いつもキュンキュンしながら読ませて頂いています。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - 切なくて切なくて、涙が出てきました。このお話大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 19時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年7月21日 14時
