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「優太くんも、みんなも、一番かっこよくてっ、すごいのに、」
「…えっと、」
「ヒロト君なんて、っ絶対、優太くんたちのお仕事の何にも、み、見たこともないくせに」
そこまで言うとその先は堪えきれず、嗚咽交じりに大声を上げて泣き出した。
そんなAを前に、俺は、ただ戸惑う。
「えぇぇぇ……？」
待って、何だそれは。マジか。理由がそんなことだなんて。
喧嘩なんてものこれまでほとんどしたことのなかったこの子が、そんな理由で怒っただなんて。そんな理由で男の子相手に掴みかかるほどに、自分の頬に傷をつくって帰ってくるくらいに、それをどうしても許せなかっただなんて。
驚きと、戸惑いと、それからなぜだか俺の方が泣きそうになってしまう。
困った。こういう場合、保護者としてはどう言うのが正しい教育なのだろう。
正直、何よりもAがそんな風に思ってくれていたことに対する嬉しさの方が勝ってしまって、ちょっとだめだ。ありがとう？ヒロト君むかつくな？Aめっちゃ可愛いな？どれも多分ちがうし、分からない。岩橋に電話したい。分からなくて、ただそんな些細なことで俺のために泣きじゃくるAのことが愛おしくて、その愛おしさに任せて目の前の小さな体をぎゅうと抱きしめた。
膝の上で抱えて、背中を擦る。まだもう少し小さい頃のAが泣いてどうしようもなかった時にしてやったみたいに、緩やかに揺らしながらその呼吸が整うのを待った。
「Aがそう言ってくれるのはすげー嬉しいよ。でもさ今日みたいな場合でも何でも、みんながみんな同じように思うことなんてないんだから、意見がちがうからって手を出すのはその…、えーっと、よくないこと…です」
威厳も何もまるっきり感じられない、弱々しい言い方をしてしまう。子どもが間違ったことをした時、保護者としてどんな態度で言葉で以て教え諭すべきかなんて正解は知らないし、情に絆されまくった俺の表情はさっきからもう緩みっぱなしなのだからしょうがない。肩のところで鼻を啜りながら、うん、と返事が聞こえる。素直だ。
いくらか落ち着いたらしい頃、Aが短く溜息を吐く。「私すごいやばいジャニオタみたいになっちゃったぁ…」と。どうやらその辺については葛藤があるらしい。いいじゃん別に。
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています！これからも楽しみにしています。 (2019年9月30日 0時) (
レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 急といえば急だけど、当然といえば当然な感情な感じです。だって、岸君がずっと側で、愛情たっぷりで、まっすぐで…思春期な女子じゃなくても…なりますよね。益々目が離せません！更新楽しみにお待ちしています。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 優太くん目線で楽しませて頂いています。2人が幸せになれる事を祈っています。更新頑張ってください。 (2019年9月16日 22時) (レス) id: 8464dfffe9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきてぃー(プロフ) - このシリーズ大好きです！！たまに出てくるじんくんも好きです（笑）もどかしくて、キュンキュンする！続きが楽しみです！ (2019年8月16日 2時) (レス) id: 3752f8da94 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - すごく好きな展開です！表現力がありお話の雰囲気に一気に引き込まれました。この先二人がどうなっていくのかとても楽しみです。 (2019年8月13日 17時) (レス) id: 62d9628bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年7月16日 18時
