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Kaito
辺りは騒然としていた。
大人に見つかって面倒なことになる前にと、足早にその場を去った。
ただでさえ心配性の姉の耳に、余計な情報が入っては困る。
――永瀬廉。
私立進学校に通う、同学年。
飛びぬけて理数科目の成績がいい割に、付属校でもない私大の文系志望という、変わったやつ。
ちょっとそこらにはいないような整った容姿と、それに見合った芸能人みたいな名前で、塾の中でもあまり他の生徒ともつるまないから遠巻きに女子が騒いでるのをよく見かける。
話したことはなかった。
以前、模試の最中に倒れたやつがいるなぁと思っていたら、そいつが永瀬だと後から耳にした。
偏差値の高い集団の中で、勉強のストレスでダメになるやつなんてざらにいる。
そんなのは、ダメになる余裕すらない自分には関係のないことだと思った。
なんなんだろう、あいつ。
どうしてAちゃんのことを知ってるんだ。
以前、あいつが同じ学校の生徒と話しているときに、Aちゃんの名前が聞こえた気がしたのだ。
気のせいではなかった。
永瀬廉が持ってきた夏期講習の申込用紙は、わざと家に置いてきたものだった。
今の成績で言えば今回のカリキュラムは特に自分に不可欠というわけでもなかったし、姉には後から「ごめんね、締切過ぎちゃってた」なんて言って、最初から受講しないつもりでいたのだ。
だから、自分の部屋の、目につきにくくかつ置き忘れたとしても不自然でないところに隠したつもりだったのに。
姉は、周りの大勢が手にする機会を俺一人が逃すことに、とりわけ敏感だ。
中学の修学旅行で、不参加の手続きを勝手にとっていたのがばれたときは、たいそう怒られた。
けれど俺は、皆と全てが同じでなくても、本当に必要なものだけあればいいはずだ、とそう思っている。
同じ機会を等しく得なくたって、それを享受したやつらの2倍も3倍も努力すれば、ただそれでいい話なのだ。
けれどそれは、Aちゃんには言えないことだった。
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rin(プロフ) - こっそりTwitterもフォローさせてもらっており、お話を楽しませてもらっております。いつもありがとうございます。 (2018年11月27日 22時) (
レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - こんにちは。初めてコメントさせていただきます。斜陽を読み返してこれで4度目くらいになります。初めてお話を目にしたときの衝撃はさながら、いつお読みしても胸を熱くさせ、心を揺さぶる、素敵なお話だなあと思いました。言葉選びや描写がとても好きです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» 最後につながるつもりで書いてたのしっかりバレててお恥ずかしいですが、拾って下さり嬉しいです！たくさん感想下さり、本当に励みになっていました！最後までお付き合い頂き、ありがとうございました〜！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - こむぎさん» 完結おめでとうございます。王子様のキスで魔法が解けなかったと思い込んだ紫耀くんのシーンで号泣し、ラストは王子様になれるから泣くな！これは伏線だ！と言い聞かせてた頃が懐かしいです。ニヤニヤしながら泣きました。ロマンチック紫耀くんありがとうございます！ (2018年2月6日 4時) (レス) id: 4751ebaf72 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» えー控えないでください〜！毎回嬉しくてにまにましてます！作者としてもようやく二人の関係を進展をさせるので少しどきどきしながらアップしたのですが、反応いただけてとっても嬉しかったです！ムズキュンつくれてたらいいなぁ…引き続きよろしくおねがいします〜！ (2017年11月3日 20時) (レス) id: 51c991b273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年3月20日 6時
