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ちょっと、驚いた。
本当に、第一印象よりも、ずっとずっと優しいんだ。
愛想が良いわけではないけれど、周りの人間の心の機微に敏感な人。
優しい人。
きっとご自分からうちの店に来られるような方ではないんだろうけど、純粋に、またお話したいなと思った。
北斗さんの左手の薬指にも指輪がある。
こういう方が好きになる人って、どんな女性なんだろう。
どういう方と結婚されるんだろう。
細くて長い指を見ながら、そんなことを思う。
「楽しそうやったね」
「やきもちですか？」
「うん、そう」
そんなことを言いながら、もちろんいつもの余裕そうな笑顔。
「珍しいやん。あんな若い男前が来んの」
「そうですね。普段は紫耀さんくらいですもんね」
「Aちゃんのこと好きになるのってすんごいおっさんか、未成年かのどっちかやしね」
「…いじわるだなぁ」
「そう？」
「これはもう完璧にやきもちですね。ありがとうございます」
「はは。憎たらしい」
色んなお客様がくるけれど、紫耀さんとはやっぱり、居心地がいい。
紫耀さんはグラスを手に取ると、その中で泳ぐ氷を転がす。氷が右へ左へと動く度に、軽快な音が鳴る。
何か考え事をしている顔。
「内緒にしてようと思ったけど、憎たらしいから教えたげる」
「何ですか？」
「未成年のストーカー君。久しぶりに下に来とったよ」
うそ。
永瀬くんが？
…どうして？
私に会いに来ることなんて、もう二度とないだろうと思っていた。
あんなに酷いお別れの仕方をしたから。
あの日から一か月以上現れなかったのは、私のことを軽蔑したからじゃないんだろうか。
私に対して抱いてくれていた好意なんて、きれいに消え去ったからなんじゃないんだろうか。
…理由は分からない。
けれど、一度、ちゃんと傷つけようと思って、そうした相手だ。
私のことを待ってくれていたとしても、会いに行くべきじゃないってことは、分かる。
「行かんでええの？」
「…どうしてそんなこと言うんですか。今紫耀さんとお話ししてるのに」
「ん？意地悪してんの」
それでもやっぱりどこかで永瀬くんのことが気がかりで、紫耀さんに対しても冗談で返すことができなかった。
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rin(プロフ) - こっそりTwitterもフォローさせてもらっており、お話を楽しませてもらっております。いつもありがとうございます。 (2018年11月27日 22時) (
レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - こんにちは。初めてコメントさせていただきます。斜陽を読み返してこれで4度目くらいになります。初めてお話を目にしたときの衝撃はさながら、いつお読みしても胸を熱くさせ、心を揺さぶる、素敵なお話だなあと思いました。言葉選びや描写がとても好きです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» 最後につながるつもりで書いてたのしっかりバレててお恥ずかしいですが、拾って下さり嬉しいです！たくさん感想下さり、本当に励みになっていました！最後までお付き合い頂き、ありがとうございました〜！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - こむぎさん» 完結おめでとうございます。王子様のキスで魔法が解けなかったと思い込んだ紫耀くんのシーンで号泣し、ラストは王子様になれるから泣くな！これは伏線だ！と言い聞かせてた頃が懐かしいです。ニヤニヤしながら泣きました。ロマンチック紫耀くんありがとうございます！ (2018年2月6日 4時) (レス) id: 4751ebaf72 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» えー控えないでください〜！毎回嬉しくてにまにましてます！作者としてもようやく二人の関係を進展をさせるので少しどきどきしながらアップしたのですが、反応いただけてとっても嬉しかったです！ムズキュンつくれてたらいいなぁ…引き続きよろしくおねがいします〜！ (2017年11月3日 20時) (レス) id: 51c991b273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年3月20日 6時
