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けれど紫耀さんは笑って、秘密主義はお互い様でしょ、と言った。
確かに、私も紫耀さんに言わないままでいることはある。
お互いの深くを詮索しない、というのは、私たちの間にある言葉にしない方のきまりだ。
私が紫耀さんの生活に立ち入らないように、紫耀さんだって私が一晩一緒にいられない理由を無理に知ろうとはしないでいてくれている。
それらは結局のところ、愛着の無さの現れでしかない。
彼から言われて始まった関係だ。
けれど私の存在も彼にとってはきっと、彼の部屋に置いてあるだけの家具と同じなのだと思う。
「いつものところでいい？」
「はい、ありがとうございます」
いつも降ろしてもらうのは、私の家から少し歩いた先にあるスーパーの駐車場。
私達が別れる時間には大抵閉店時間を過ぎていて、人影もない。
このまま行けば、あと3分程で着く。
「俺と似てるなってね、思って」
紫耀さんが左にハンドルを切りながら言う。
「…紫耀さんと、永瀬くんがですか？どの辺が？」
「うーん…。あ、ストーカー気質なとことか？」
「また適当なこと言って」
「だってほら、今もAちゃんの家までついてこうとしてるやん」
「送ってくださってるんでしょ」
「ふふ。まぁ家の前まで送らせてもらったこともないけどね」
「紫耀さんのお家みたいに立派なタワーマンションじゃないから恥ずかしいんですよ」
そうやって笑い合っているうちに、“いつものところ”についてしまう。
ゆっくりと車が止まって、それじゃあと言う私に無言のままの紫耀さん。
ドアに手を掛けると、腕をぐっと引かれてそのまま彼の体に包み込まれる。
別れ際の抱きしめ方だって、まるで恋人同士のそれだ。
愛も未来もない関係なのに。
キスは紫耀さんの煙草の味がした。
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rin(プロフ) - こっそりTwitterもフォローさせてもらっており、お話を楽しませてもらっております。いつもありがとうございます。 (2018年11月27日 22時) (
レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - こんにちは。初めてコメントさせていただきます。斜陽を読み返してこれで4度目くらいになります。初めてお話を目にしたときの衝撃はさながら、いつお読みしても胸を熱くさせ、心を揺さぶる、素敵なお話だなあと思いました。言葉選びや描写がとても好きです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» 最後につながるつもりで書いてたのしっかりバレててお恥ずかしいですが、拾って下さり嬉しいです！たくさん感想下さり、本当に励みになっていました！最後までお付き合い頂き、ありがとうございました〜！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - こむぎさん» 完結おめでとうございます。王子様のキスで魔法が解けなかったと思い込んだ紫耀くんのシーンで号泣し、ラストは王子様になれるから泣くな！これは伏線だ！と言い聞かせてた頃が懐かしいです。ニヤニヤしながら泣きました。ロマンチック紫耀くんありがとうございます！ (2018年2月6日 4時) (レス) id: 4751ebaf72 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» えー控えないでください〜！毎回嬉しくてにまにましてます！作者としてもようやく二人の関係を進展をさせるので少しどきどきしながらアップしたのですが、反応いただけてとっても嬉しかったです！ムズキュンつくれてたらいいなぁ…引き続きよろしくおねがいします〜！ (2017年11月3日 20時) (レス) id: 51c991b273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年3月20日 6時
