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話がしたい、とそう言った割に、永瀬くんの口数は少ない。
所在なさげにウーロン茶を飲む動作とおしぼりを握る動作を繰り返して、時折こちらを盗み見るかのような一瞬の視線を感じる。
「何もしなくてもいいんだよ。楽しくおしゃべりするだけの場所だから」
「ん、知ってる…」
「そういえば、永瀬くんお誕生日だったんだね。おめでとう」
「…あ！そう、ケーキ！ケーキ買うてきたんです」
「えっ自分で？」
「俺、ここのが一番好きなので」
「そうなんだ」
「俺の誕生日には毎年家族で食べてて…今年は家族とは食べてへんけど」
「そうなの、どうして？」
「……一緒に食べたかったから」
言いながら照れて赤くなった顔を隠すように俯き、少しだけ小さな声でそう言った。
私と、ってことだよね。
誕生日は、永瀬くんにとって特別な誰かと、一度だけお祝いしたい日なのかな。
それだけ大切な日なんだろうな。
誕生日が子どもにとって、一年で一番素敵な日として記憶されているというのは、それだけ家族の愛情がしっかりと注がれてきた証だと思う。
私の見たことのある彼の持ち物は、綺麗にアイロンがけされたハンカチと、柔軟剤の匂いのするシャツ、擦れや汚れのないローファーに、たくさんの参考書。
ご両親に愛されて育った、大切にされている証で溢れていた。
「ありがとう。ロウソク立ててこようか。ハッピーバースデー歌ってあげるね」
「いいです！」
「どうして」
「…恥ずかしい、」
自分で自分の誕生日ケーキを買うのは良いのに、歌われるのは恥ずかしいのか。
その辺の葛藤はよく分からない。
「それより、先に、話があるんです」
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rin(プロフ) - こっそりTwitterもフォローさせてもらっており、お話を楽しませてもらっております。いつもありがとうございます。 (2018年11月27日 22時) (
レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - こんにちは。初めてコメントさせていただきます。斜陽を読み返してこれで4度目くらいになります。初めてお話を目にしたときの衝撃はさながら、いつお読みしても胸を熱くさせ、心を揺さぶる、素敵なお話だなあと思いました。言葉選びや描写がとても好きです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: 33ae3a68db (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» 最後につながるつもりで書いてたのしっかりバレててお恥ずかしいですが、拾って下さり嬉しいです！たくさん感想下さり、本当に励みになっていました！最後までお付き合い頂き、ありがとうございました〜！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - こむぎさん» 完結おめでとうございます。王子様のキスで魔法が解けなかったと思い込んだ紫耀くんのシーンで号泣し、ラストは王子様になれるから泣くな！これは伏線だ！と言い聞かせてた頃が懐かしいです。ニヤニヤしながら泣きました。ロマンチック紫耀くんありがとうございます！ (2018年2月6日 4時) (レス) id: 4751ebaf72 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - おりかさん» えー控えないでください〜！毎回嬉しくてにまにましてます！作者としてもようやく二人の関係を進展をさせるので少しどきどきしながらアップしたのですが、反応いただけてとっても嬉しかったです！ムズキュンつくれてたらいいなぁ…引き続きよろしくおねがいします〜！ (2017年11月3日 20時) (レス) id: 51c991b273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2017年3月20日 6時
