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「芥川さん、お願いがあるんです」
「お願い?」
「ええ。…その、顔を見せて貰ってもいいですか」
彼女は身体を手で包み、少々恥じらい乍ら、顔を赤くさせて言った。唯、芥川には、彼女から“見る”という言葉を聞くことに些か違和感を感じた。
「…、」
「あっ、勿論目で見るっていうわけじゃ無いですよ、その代わり手で“見る”んです。だから、芥川さんの顔をチョット触らせてくれないかなあって、…」
盲目のAにとって、見るという行為は、触って感触を確かめる事と同義である。顔を触られること。芥川にとって慣れていないものだった。其れと、顔を把握されるのは、なんだか心苦しいなにかがあった。
芥川は少々困惑して、Aから目を逸らして黙り込んだ。
「い、嫌だったら構わないんです。無理にっていうわけでも無いですし、顔触られるのが嫌っていうのも、あるでしょうし…」
Aは芥川が黙り込んだことで不安に駆られたのか、手をわたわたと忙しそうに動かしながら、こうだああだと独り言ちた。駄目かなあ、とAは落胆する。
然し、芥川から帰ってきたのは予想を裏切る返答だった。
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(=^・^=) - 芥川さんが好き、愛してるのに、私は中原中也…。芥川龍之介さんの性格が大好きだ! (2020年7月17日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 受けて頂き、ありがとうございます!いつになっても、全然大丈夫ですので、よろしくお願いします! (2019年8月22日 17時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮ノ花(プロフ) - 月華さん» 分かりました!更新につきましては、大変ゆっくりだと思うので、ご了承ください<(_ _)> (2019年8月22日 17時) (レス) id: fd07e1b99b (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 蓮ノ花さん» ありがとうございます!では「一般人で、芥川さんと恋仲の夢主が敵組織に誘拐され、芥川さんが救出に行くが、夢主は殺 され、しかも解体されていた」というお話をお願いしたいのですが、大丈夫でしょうか? (2019年8月22日 13時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮ノ花(プロフ) - 月華さん» どうぞ〜!ただ私なかなかの遅筆なもので、消化に時間がかかるかもしれませんが… (2019年8月22日 12時) (レス) id: fd07e1b99b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮ノ花 | 作成日時:2019年4月23日 22時