【マルコス】境界線を越えたなら【#コンパス 】

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逃げた方がいい？



マルコスくんから？








『……む、無理無理無理』





親友と別れて1人でとぼとぼと帰宅している道中、彼女に告げられた言葉に頭を悩ませていた。







確かに、マルコスくんは独占欲が少し強いかもしれないと思うことは多々あった。


付き合い始めてから、それはどんどん見えてきて。






「Aちゃんの全てが欲しい」




「ずっと僕の傍にいてね？」




「だーいすき」





だなんて、最近甘い言葉ばっかりかけられて、ときめきが止まらず困り果てる私。




その中に、重いものが混ざっているような気はしているものの、目を逸らし続けている。







それがどんなに歪んだ愛情だとしても、マルコスくんからのもの(愛情)だと思うと嬉しいし、私はそれを受け止められると思う。




それに、怖気付いて逃げ出したとしても後悔するに決まってる。



マルコスくんを手放さなかったら良かった、なんてそんなことにはなりたくないし。





今の私に、逃げる気はさらさらなかった。






さやかちゃんは、私の為を思って行ってくれたんだと思う。


彼女はとても心の優しい子だから。



ありがとう。

でも、ごめんね。








『私は、やっぱり…』







マルコスくんの傍にいたいんだ。









『あれ、マルコスくん？』




家の前に人影を見つけて、小走りでその人に駆け寄る。





「おかえり、Aちゃん」



にこり、と微笑まれて紡がれた言葉に頬が緩む。



『うん、ただいま。マルコスくん』




ただこれだけの言葉掛けなのに、心がぽかぽかしてふわふわする。





『珍しいね、いつもは外に出ないのに』




「んー、そうだよねぇ。やっぱり、Aちゃんに早く会いたかったから？」



『なんで疑問形？』






ふふ、と笑って私の手を引くマルコスくんはいつも通りだった。

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