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「随分と過保護なこと」
面白がっているのをもはや隠す気もない蓮くんは、じとりとした視線を投げた俺に向けて、おーおー、こわいこわい！ と両手で身体を抱き締めて震えるような仕草をする。
「そりゃ、うちのかわいい長女だからね。悪いオニーサンたちに絡まれないようにしないといけないじゃん？」
「悪いオニーサンたちとは？」
「さあ？ 一般論、一般論」
まー、なんて言い種！ 隣の彼はわざとらしい顔を作っている。視線はAから離さないままだ。
「とにかく！ 俺の目の黒いうちはAはあげません」
「なに？ 柾哉、いつの間にAちゃんのお父さんになったと？」
「お父さんはどっちかっていうと洸人かなあ。頑固親父」
「あー、西くんがお父さんはなんかわかる」
低く、くつくつと笑って蓮くんは言った。
「大事にしとるんやね」
「…………うん。大事な女の子だよ」
『大事な女の子』、そのワードはすとんと胸に落ちて、じわじわと広がっていく。そうだ。あのこは俺たちの大事な女の子。
俺の様子を見ていた蓮くんは口角を上げ、優しく笑う。
「初恋みたいやね」
「初恋は叶わないらしいからなー、それはどうだろ」
「叶えたいと？」
どうだろね、と濁す。蓮くんもそれ以上追求してはこない。
俺たちの視線に気付いたのか、たじの背中から顔を出すようにしてAは小さく手をひらひらと振っている。それに並んで手を振り返しながら、静かに『大事な女の子』という言葉を心の中で何度も繰り返していた。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
