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リタイア扉を通り過ぎ(西くんとAちゃんによる「俺はつよおおぉおい！」「つよーい！！」というコールアンドレスポンス)、早足になりつつ進む。
「……ゆうだい、」
「どしたん？」
「ありがと」
ギュッってしてくれて助かる、と俯きがちな横顔が呟く。
「……どういたしまして」
心臓がキュッと掴まれたようだ。こんなの、心拍上げるなっていう方が難しい。
「もう半分は来たと思うし。あとちょっとがんばろ。がんばれる？」
こくりと頷いている。颯爽とした普段からは想像つかない、弱々しさ。
「がんばる」
心拍数が何だ。勝負が何だ。ぎゅうと抱きしめる。
「うん、俺がおるから。大丈夫やからね」
がっしり肩を組んで出口を潜った俺たちに
「なかよし！」
「Aちゃん大丈夫やった？」
「えー雄大ずる！！」
と口々に声が飛ぶ。俺はその声に応えて、Aちゃんをぎゅーと抱き寄せる。普段はそんなことさせてくれない彼女は困った顔で笑っている。
「頼もしすぎるわ」
と俺を指して笑っている西くんに、うんうんと頷いて
「ほんと、今日の雄大はすごかった。一緒のチームでよかった」
ありがとう、とやわらかくAちゃんは微笑んだ。
「俺、今ので心拍数上がったかもしれん」
すかさず他チームだったメンバーからブーイングが飛んでくる。男の嫉妬は見苦しいで、と俺は勝ち誇ってもう一度だけ隣のちいさな、あたたかい身体を抱き寄せた。
◎リクエストありがとうございました！
「INIフォルダ 肝試し回」
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
