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二人に両側からがっしりホールドされて、いざ館内へ。歩きにくいことこの上ない。Aちゃんは俺の甚平を握りしめている。その手が必死でかわいい。ふと密着していると気づく。隣にある熱を自覚して、俺、もしかしてこっちで心拍上がるんじゃなかろうか。
「……もうやだ雄大〜〜」
「A、カメラちゃんと入れって」
「西くんアカン、Aちゃんそれどこじゃない」
目をキュッとつぶって唇を噛み締めている。その様子はいつもよりずっと幼い。ぎゅうぎゅうしがみつく腕に庇護欲を刺激される。
「Aちゃん、ちゃんと一緒におるから大丈夫。な？」
「雄大〜〜」
「雄大ほんとガチ走んなよ！」
「走らん走らん！」
「Aー、結構俺もちょっとアカンかもー」
「ひろくん〜〜、もうやだよぅ」
「やめて〜、ごめんなさーーーい」
「ごめんなさーーいいーーー」
「西くんもAちゃんも何もごめんなさいじゃないんよ」
Aちゃんはたぶん、急に大きな音がするのも得意じゃない。時には西くんの出す大声でビク！ と肩が震えるし、その後痛いくらい俺にしがみついている。
「後ろ危ない〜〜！！！」
「いやああああだ！！！」
「もう二人とも、怖いなら見んなよー」
「見ない！ もう見ない！！」
「見てない見てない見てない」
「西くん叫ぶとAちゃんますます怖がるシステムになっとる」
「ゆうだい〜〜……」
両隣が怖がりすぎて、もう逆にこの状況がおもしろくなってしまって困る。自分が割と怖い系が平気なのだと初めての発見をした。西くんは聞いたことない声出してるし、Aちゃんはさっきからキャハハ！ とやっぱり聞いたことない笑い方をしている。Aちゃんの方は怖すぎて限界超えちゃったのかもしれない。大丈夫やで、としがみつく小さな身体を抱き止めておく(これはこれで心拍数には大丈夫じゃなさそうなんだけれど、優先すべきは明白である)。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
