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うおー！ と盛り上がる男たちの声の中、こんなん絶対本命に渡せないやつ……しょぼくれるAちゃんはかわいそうでかわいくてちょっぴり胸が痛い。でも俺とてAちゃんのチョコは欲しい。これでもらえたらオールオッケー、むしろ今年のバレンタインにおける勝者である。
「匠海〜〜！ さっきまで仲間だったのに！」
「すまん！ Aちゃん、俺も欲しい！！」
先程、迅のチョコをかけて争った戦友(しかも京介に敗北して慰め合った仲)を裏切ることにはなるが、自分の気持ちに正直に生きることにする。
「気持ちはMATCHトリプルなんよ」
「MATCHダブル越えてきた」
アイスクリームか？ と小さく雄大がツッコんできたがスルーしておく。
チョコをかけた大一番、迅が選んだのは『LEGITを見つけ出せ』。俺とAちゃんには真実の愛あるから！ すーぐ見つけ出しちゃうもんね、と宣っているが、させてたまるか。
男11人がぐるりと小さい子供用プールを囲んでいるのは奇妙な絵面だ。輪から一人離れてAちゃんは
「あんまりフィジんないようにね」
きっと守られないであろう注意事項を言い渡している。
スタート！ の合図とともに俺たちはボールをかき分ける。フィジカルは当然アリだ(ごめんAちゃん、言うこと聞かなくて)。
「ちょっと〜！ どいて！」
「ちょ、引っ張ってんの誰や。コケる！！」
「俺のAちゃ〜ん！ どこ！！」
「そうはさせるか、迅以外で協力すっぞ！」
「探しても探しても京介しか出てこないんだけど！！」
「ってかさっきまでよりプールでかいし、ボール増えてるし見つからなくない！？」
「——！ あった！！！」
右手を揚々と掲げる。黄色いボールにはガンギマリハートを作ってなおかわいいAちゃんの写真が付いていた。
「見たか！ これが！ MATCHトリプルの力！！！」
俺の勝利宣言にAちゃんは爆笑していた。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
